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金属技術開発と環境保全(2015)

レアメタルのリサイクル技術開発

 レアメタルは、耐熱、耐食、磁性、蛍光等の機能的特性を活かし、様々な製品に使用される31種類の金属の総称です。特に自動車、電子・電気機器、精密機械等などの小型化・高性能化に不可欠の材料であり、その資源安定供給は日本経済の国際競争力の発展・維持に欠かすことができません。 また、環境・省エネルギー関連技術や製品などにおいて、機能性素材として重要な役割を果たすことが期待されています。
 JOGMECでは使用済み製品からレアメタルを回収する技術の開発を行っています。使用済みの小型電子・電気機器からの各種レアメタルの回収、超硬工具スクラップからのタングステン、コバルト等の回収、希土類研磨材や廃蛍光体からのイットリウム、ユーロピウム等の回収などの技術開発を通じ、限りある資源の有効利用を目指しています。

超硬工具スクラップからのタングステンの回収

超硬工具チップスクラップ

超硬工具チップスクラップ

 超硬工具とは、超硬合金を用いた切削工具、耐摩工具、鉱山土木工具などで、主な原料はレアメタルであるタングステン、コバルトなどです。従来の超硬工具からのタングステンの回収技術は、様々な処理を多数繰り返す、エネルギー使用量や化学薬品使用量などの環境負荷が大きいプロセスです。そのため日本国内ではリサイクルコストが大きく、国内で発生した超硬工具スクラップの多くが、海外に持ち出されてリサイクルされているのが現状です。
 JOGMECは、超硬工具からタングステンを低コストで回収できる新たなタングステン回収プロセスの技術開発を2007年度(平成19年度)から実施しました。2009年度(平成21年度)からは、研究委託先企業の工場内に設置したパイロットプラントを用いた実証試験を開始し、新技術の有効性と経済性を確認して、平成22年度で事業を完了しました。研究委託先企業がこの技術を利用した新たなタングステンリサイクル事業を実施しています。

使用済み小型電子・電気機器からのレアメタルの回収

基板脱離・部品剥離実証試験装置

基板脱離・部品剥離実証試験装置

 携帯電話やポータブルオーディオ機器、デジタルカメラなどの小型電子・電気機器には銅やアルミなどのベースメタル、金・銀・白金などの貴金属、タンタル・インジウム・レアアースなどのレアメタルが高品位で含まれています。これらの機器は家電リサイクル法の対象外で、一部は回収・リサイクルされていますが、大部分は家庭から廃棄物として捨てられ、埋立処分されています。またリサイクルされている場合でも、価値の高い貴金属等だけが回収され、回収に手間とコストがかかるレアメタルの多くは捨てられているのが現状です。
 JOGMECでは、平成19年度から22年度まで、こういった使用済み小型電子・電気機器からのレアメタルの回収技術の研究開発を行いました。その結果、効率的で環境負荷の少ないレアメタルの回収を可能にする方策として、まず機器を機械的に分解し、比重や磁性などの物理的な性質の違いを利用してレアメタル含有部品を選択的に抽出した上で、化学的な分離抽出を行う技術が確立されました。
 さらに、「使用済小型電子機器等の再資源化に関する法律」が成立したことを受けて、JOGMECは平成24年度から、廃小型家電製品からタンタルとコバルトを経済的に回収できるリサイクル技術の開発に着手しました。

研磨材や廃蛍光体からのレアメタルの回収

 液晶テレビやハードディスクなどの製造工程において、ガラスパネル表面の精密研磨処理にレアアース(セリウムなど)酸化物を主体とした研磨材が大量に使用されています。また液晶ディスプレイや、省エネルギー性の高さから普及が進んでいる省エネ型蛍光ランプに使用される蛍光体には、イットリウム、ユーロピウム、テルビウムなどのレアアースが使用されています。
 こうしたレアアースの資源は、中国の埋蔵量が世界全体の約3割、生産量については約9割以上を占めており、我が国はレアアース供給の大部分を中国に依存している状況です。中国はレアアースについて外資による採掘禁止、輸出税の引き上げ、輸出許可数量の削減等の輸出抑制策を展開しています。これらの政策によるレアアースの供給制限は我が国の経済活動に多大な影響を及ぼす恐れがあり、実際に2010年秋には輸入障害が発生しました。この状況を少しでも緩和するために、レアアースの効率的なリサイクル技術の確立が望まれています。
 JOGMECは、これまで技術的・経済的に抽出が困難であったレアアース含有使用済製品について、その再生処理やレアメタルを回収・再利用する技術の研究開発を、2008年度(平成20年度)から2012年度(平成24年度)まで実施しました。具体的には、使用済セリウム系ガラス研磨材の再生処理、廃蛍光体からのイットリウム等のレアアース元素の分離抽出などの技術を確立しました。この技術を利用した廃蛍光ランプからのレアアースリサイクル事業が福岡県で行われています。