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2015年度事業実績(鉱害防止支援)

鉱害防止技術支援

鉱害防止実施者に対する技術支援

水量水質調査

水量水質調査

 汚染者負担の原則に従い、本来ならば採掘権者等が鉱害防止事業を実施する義務を負いますが、義務者不存在の休廃止鉱山については地方公共団体が事業主体となり、国が補助金を交付するとともに、地方公共団体からの依頼を受けてJOGMECが技術面で支援しています。
 主な実績は以下のとおりです。
・京都府のA鉱山からの坑廃水処理事業の合理化に資するため、水系調査を行いました。
・宮崎県のB鉱山の下流(利水点)において砒素負荷量の現状確認を行うとともに、砒素負荷低減に効果的な対策を提示するなど技術的支援を行いました。
・鹿児島県のC鉱山集積場について、義務者不存在鉱山では先行事例となるレベル2地震動に対する集積場の安定化対策工事の設計を行いました。
・委託された山形県のD鉱山など8鉱山について、地方公共団体が行う鉱害防止工事の実施に際し、必要な助言や鉱山周辺での水量・水質のモニタリング調査、技術面のコンサルティングを実施しました。

旧松尾鉱山新中和処理施設の運営管理

旧松尾鉱山新中和処理施設

旧松尾鉱山新中和処理施設

 義務者不存在鉱山の中で最も坑廃水量が多い旧松尾鉱山新中和処理施設について、岩手県から委託を受けて1982年から運営・管理を実施しています。年間900万㎥にも及ぶ坑廃水の処理後の水質を定められた基準値内に安全かつ確実に維持しており、34年間にわたり北上川の清流化の達成に貢献しています。災害・事故等への備えとして夜間の被災を想定した大規模災害訓練等を実施したほか、雷保護システム設置の着手、災害・事故等対応マニュアルの見直しなど、リスクの低減に取組みました。また、老朽化が進んだ処理施設の設備等を計画的に更新するとともに、処理水pHの高度な管理を行うことにより薬剤使用量を低減させるなどのコストの削減にも取組みました。

鉱害防止技術開発

自然力活用型坑廃水処理 屋外実証試験設備

自然力活用型坑廃水処理 屋外実証試験設備

 休廃止鉱山における坑廃水処理は半永久的に続ける必要があり、鉱害防止実施者にとって大きな負担となっています。より効果的で効率的な坑廃水処理が可能となるよう、自然力活用型坑廃水処理(パッシブトリートメント)や中和殿物の有効利用など、坑廃水処理コストを削減するための技術開発に取組んでいます。
 主な実績は以下のとおりです。
・自然力活用型坑廃水処理ではJOGMEC独自の手法(硫酸還元菌の反応を利用し、有機物に米ぬか等を使用)に改良を加え、酸性坑廃水を対象とした屋外での実証試験を実施し、地産地消が可能な農業廃棄物(もみ殻、米ぬか)を利用する低コストのプロセスを構築し、1,200日に亘る安定的な金属除去が可能であることを確認するとともに、2例目となる屋外での実証試験を開始しました。また、特許を2件取得しました。
・大学や研究機関と、コスト削減に寄与する植物等を用いた新たな坑廃水処理技術について共同研究を実施し、特定の植物が持つ金属除去能力に関する新たな知見を獲得しました。中和殿物の減容化や再利用については、層状複水酸化物が中和剤として利用できることや、それにより発生する中和殿物の量が削減できることを確認しました。また、休廃止鉱山の中和殿物を利用して脱硫化水素剤を製造できる可能性を検討しました。

鉱害防止に関する研修・人材育成

エコツアー

エコツアー

 鉱害防止対策を実施する人材の確保や資源開発と環境保全両面の重要性に関する理解促進のため、人材育成や啓発活動に関する取組を行っています。
 主な実績は以下のとおりです。
・「坑廃水処理のコスト削減及び集積場の安定化に関する取組み」及び「坑廃水処理におけるリスク管理と緊急対応」をテーマに鉱害環境情報交換会を2回開催し、地方公共団体や鉱害防止事業関係の参加者124名に対し、鉱害防止事業の実施に資する有用な情報を提供しました。
・業界の課題である坑廃水処理管理者の不足・高齢化に対応して、日本鉱業協会と連携して鉱害防止技術基礎研修会を2回開催し、現場技術者18名に対し専門的知識の習得を目的とした研修を実施しました。
・坑廃水技術者教育用映像「休廃止鉱山における鉱害防止対策の概要」を製作し、坑廃水処理事業に携わる技術者へ技術の浸透を図りました。
・坑廃水処理場・鉱山の近隣学生等を対象にエコツアーを2回開催し、資源開発と環境保全の両立の重要性について啓発しました。
・旧松尾鉱山新中和処理施設では、岩手県内外の行政機関、学校、企業等の見学者1,035名を受入れ、鉱害防止事業の重要性について学ぶ機会を提供しました。(行政機関:365名、大学:174名、小中高:89名、専門家等:104、一般住民等:303名)

本邦企業による鉱害防止事業への金融支援

鉱害防止に関する資金の融資

 2015年度は、民間の鉱害防止実施者が実施する鉱害防止工事及び坑廃水処理事業を資金面で支援するため、鉱害防止資金として、2社6鉱山を対象に総額2.1億円の貸付を実行しました。加えて、農用地の土壌汚染対策事業への公害防止事業者負担金を支援するため、鉱害負担金資金として1企業を対象に6,000万円の貸付を実行し、安定的な金融支援を実施しています。

鉱害防止積立金及び鉱害防止事業基金の運用・管理

 金属鉱業等鉱害対策特別措置法に基づき、鉱害防止を実施する民間企業から積立金※1及び事業基金※2を受入れ、適切に運用・管理することで、確実かつ継続的な鉱害防止事業の実施に寄与しています。
 ※1 使用終了後の鉱業施設に対して鉱害防止工事が確実に実施されるよう工事の資金を積立てる制度。
 ※2 坑廃水処理を行う民間企業が基金を拠出し、その運用益によって処理事業費を賄う制度。
 2015年度は鉱害防止積立金を15鉱山から800万円受入れ、積立残高は16億円となっています。鉱害防止事業基金では拠出金の受入れはなく、基金残高は51億円となっています。

金属資源保有国政府等への技術支援

技術指導(OJT,ペルー)の様子

技術指導(OJT,ペルー)の様子

 日本の鉱害防止の経験を活かし、セミナーや研修の実施、専門家の派遣等を通じて、資源国の環境保全に関する取組を支援し、資源国と良好な関係を築いています。
 主な実績は以下のとおりです。
 ・鉱害防止セミナー等を4カ国(ペルー、ラオス、ボツワナ、ジンバブエ)で開催し、総勢329名の参加者に、鉱害防止関連の情報を提供しました。
 ・鉱害防止対策調査とそれに係る技術指導(OJT)をペルーおよびラオスで実施しました。ペルーでは、エネルギー鉱山省職員等10名、ラオスではエネルギー鉱山省職員等13名に対し、現地調査の方法(水量水質測定、鉱害発生源の位置・規模測定等)や取得データの解析評価方法について指導しました。
 ・鉱害防止政策アドバイザーを引き続きペルーに派遣し、現場を中心に技術アドバイスを行ったほか、優先的に鉱害防止対策が求められている鉱区について具体的な方策を提示しました。
 ・ペルーから3名の研修生を受け入れ、我が国の鉱害防止対策への取組みや休廃止鉱山の現場について研修を行いました。また、JICAの研修員(延べ26ヶ国、79名)に鉱害防止対策に関する講義を実施しました。