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広報誌特集:レアアースの通説 正と誤 (3)

通説3

「レアアースは偏在性が高く、中国にしか存在しない」というイメージをお持ちの方も多いかもしれませが、これは誤解です。 レアアースの鉱床は世界の様々な国・地域に存在し、中国のレアアースの埋蔵量は世界全体の30%程度に留まります。 一方で、その生産量に 目を向けると、世界全体の生産量の約97%を中国が占めており、一国独占生産の状態といっても過言ではありません。特に中国に偏在する重希土類の生産については、完全に中国一国に限定されます。ではなぜ、重要資源として注目を集めるレアアースが中国以外の国で生産されていないのでしょうか? その背景にあるのは中国の周到な資源国家戦略です。

世界のレアアース資源の分布

世界のレアアース資源の分布

レアアースの埋蔵量・生産量

■ 2タイプのレアアース鉱床

レアアース鉱床は2つのタイプに大別されます。1つ目は、地下深くのマグマに含まれていたレアアースが数億年かけて地表に移動した「マグマ由来」の鉱床です。このタイプは世界の様々な地域に存在しますが、ウランなどの放射性物質を含み、処理工程にコストがかかるという欠点があります。2つ目は、レアアースを比較的多く含む花崗岩が数百万年かけて粘土層になった「イオン吸着型」の鉱床です。このタイプは中国をはじめ一部の地域にしか存在しませんが(現在中国南部でのみ開発)、レアアース生産の課題となる放射性元素を含まないため、製錬・処理が容易です。また、重希土類を豊富に含むことも大きなメリットです。このイオン吸着型鉱床の存在も、中国がレアアース生産大国となっている要因の1つといえます。

2タイプのレアアース鉱床 表

レアアース生産大国 中国の変遷

2010年9月の尖閣沖漁船衝突事件後、中国から日本へのレアアースの輸出が一時停止したことにより、レアアースの供給における中国の影響力の大きさが注目されるようになりました。しかし、レアアースの調達不安はこの出来事をきっかけに始まったのではありません。中国がレアアースの開発・生産に参入したのは1980年代。 以降、中国国内に鉱山会社や分離・製錬メーカーが乱立し、圧倒的な安価での輸出を続けました。
その結果、中国以外の国のレアアース鉱山の多くが閉山に追い込まれ、世界のレアアース生産を中国が一手に握る状況になります。そして、2000年代に入ると、中国政府は資源保護・内需優先政策を実施し、レアアースの生産・輸出を"国策"としてコントロールするようになります。 こうした変遷を経て、中国はレアアース生産大国としての基盤を築き、レアアースの需給・価格動向に多大な影響を及ぼす現在の状況をつくったのです。

レアアース生産大国 中国の変遷 表

JOGMEC NEWS Vol.27
内容は2011年12月時点のものになります。
当記事が掲載された広報誌「JOGMEC NEWS Vol.27(2011年12月発行)」も併せてご利用ください。