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広報誌特集:銅を追え! (1)

銅を追え!
リモートセンシング

宇宙に浮かぶ資源探査衛星が「銅のありか」を探っていく。

地上約700キロメートルの宇宙空間を1基の人工衛星が飛行している。北極から南極、そして再び北極へと100分ほどで地球を一周するスピードは、時速に換算すると約2万7,000キロメートル。新幹線の100倍もの速さで移動しながら探っているのは、地殻の中に眠る金属資源だ。中でも今、注目を集めているのが銅である。 銅は私たちにとって最も身近な金属の一つだ。電気や熱の伝導性に優れ、加工しやすく、しかも合金や化合物としても多様な特性を示すだけに、電線、電子・電気機器、自動車、熱機器、家庭用品などに欠かせない。ところが、同じように広く利用されている金属である鉄やアルミニウムに比べると、供給状況はかなり厳しい。現在の価格で経済性を有する埋蔵量を年間の生産量で割った可採年数は約39年しかないのだ。 もちろんこれは、あと40年足らずで銅が枯渇するという話ではない。地殻の中には、まだ調べられていない銅資源が存在する。 それを探し出して採掘し、金属資源として活用していく努力を続けていかなければ、安定した供給は望めない。そこでJOGMECの果たす役割の一つが、日本で必要とする銅資源の確保である。

有望エリアを捉えた時、銅資源開発の長い旅が始動する。

鉱床(金属元素が濃縮している場所)の探査を最も効率的に行うには、できるだけ広いエリアから有望な場所を絞り込む方がいい。その手段として、近年、大きな進歩を遂げているのが、人工衛星によるリモートセンシング(遠隔探査)だ。


宇宙にはさまざまな役目を果たす衛星が飛行している。中でも銅の探査に多く利用されているのが、日本の国産センサー「ASTER(アスター)」を搭 載するNASAの地球観測衛星「Terra(テラ)」だ。1999年に打ち上げられてから現在まで、光学センサーによる地表の観測を続け、金属資源の開発 に多くの成果をあげている。そのほか、2006~2011年に運用された国産衛星の「だいち」や、NASAの「LANDSAT(ランドサット)」による観 測記録も貴重な資料だ。


これらの衛星が送ってきたデータを、ただ漫然と眺めているだけでは地殻内部の銅を見つけることはできない。ここからがプロの仕事になる。


例えば、地表における赤外線の反射状況を波長帯ごとに細かく調べていく。するとそこにある鉱物・岩石の種類が分かり、さらに「このような地形で変質岩があるということは地中の熱水による変質を受けたはず、すなわち、銅の鉱床の存在が期待できる」といった推測に至る。


言葉にすれば簡単だが、遠い宇宙からの観測データを基に地中の様子を推理していくには、地質の専門家としての多くの知識や経験が必要になる。決して一朝一夕にできる仕事ではない。


日本のような工業国では金属資源が不可欠であることから、JOGMECではいち早くリモートセンシングの研究を始め、技術とノウハウの蓄積を進めてきた。そして、南米やアジア、アフリカなど世界の広い地域で銅の探査を続け、安定供給に向けて努力を欠かさないのである。
 

■ チリ-アルゼンチン国境付近のASTER画像解析事例

  • ASTER可視近赤外画像高分解能画像

    ASTER可視近赤外画像
    高分解能画像

  • ASTER短波長赤外画像変質岩がピンクや緑色で示される

    ASTER短波長赤外画像
    変質岩がピンクや緑色で示される

  • ASTER比演算画像鉱物が各色で示される

    ASTER比演算画像
    鉱物が各色で示される

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日本の優れた資源探査技術を世界に!ボツワナのリモートセンシングセンター

レアメタルを含めたさまざまな金属資源の開発が期待される南部アフリカ開発共同体(SADC:Southern African Development Community)参加14カ国との関係強化を目指すプロジェクトの一環として、JOGMECでは2008年7月、ボツワナ共和国のロバツエ市に「ボツワナ・地質リモートセンシングセンター」を開設しました。センターでは現地への技術移管を目的とした研修を行うだけでなく、参加国と共同で金属資源の探査や開発を進めていく予定で、日本とアフリカ諸国との両方にとってメリットのあるプロジェクトを展開していくことにより、継続的な友好関係を築いていこうとしています。

JOGMEC NEWS Vol.29
内容は2012年6月時点のものになります。
当記事が掲載された広報誌「JOGMEC NEWS Vol.29(2012年6月発行)」も併せてご利用ください。