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広報誌特集:石炭権益獲得に向け探鉱支援を強化

石炭

 石炭は発電や製鉄に欠かせない資源であり、日本はその99.4%を輸入に依存している。日本の石炭火力発電技術は、効率面においても、環境面においても世界最高水準にあることから、今後、天然ガスなどとともにベースロード電源として重要な役割を担うと考えられている。一方、中国やインド等新興国の経済発展に伴い、世界的な石炭獲得競争の激化が顕在化している。JOGMECは、石炭の将来的安定供給を視野に入れ、日本企業の権益獲得支援を目的に、発展途上国や先進国のフロンティアエリアでの石炭探鉱支援強化に乗り出している。

日本は世界最大級の石炭輸入国

 石炭は、日本の一次エネルギーの約2割、発電電力量の1/4を占める基幹エネルギー資源です。かつて日本は、世界第1位の石炭輸入国でしたが、近年、成長著しい中国に次ぎ第2位となりました。今後は、アジア各国の経済成長とともに、石炭の獲得競争が激化していくことが懸念されます。日本は現在、オーストラリア、インドネシアの2ヵ国に輸入の8割を依存しており、供給源の多様化も課題となっています。

ボーリングのコア調査

ボーリングのコア調査

石油・天然ガスや金属とは異なる日本の石炭事情

 石炭には、一般炭と原料炭の2種類があります。一般炭は、発電用の燃料として利用され、米国、ロシア、中国、オーストラリア、インドネシアなど、世界に広く賦存しています。一方、原料炭は製鉄用のコークスの材料となる粘度の高い石炭で、熱量も価格も一般炭の約1.5倍と高く、産地もオーストラリア、ロシア、カナダなどに偏在しています。
 日本企業の石炭鉱山への投資の傾向として、石油・天然ガス分野や金属分野とは異なり、日本の資源会社が鉱山権益を保有しているケースは少なく、製鉄会社、電力会社などのエンドユーザーや商社がメインプレイヤーです。そのため、日本企業にとってリスクが高く、目利きの必要な探査段階から参入することは石油・天然ガスや金属分野に比べて少ないのが現状です。他方、昨今の資源獲得競争の激化に伴い、日本企業においても、探査段階から参入することで権益を早期に押さえ、資源を長期的、安定的に確保しようとする機運が高まっています。
 このような状況を後押しするために、JOGMECは、探鉱支援スキームを拡充・強化し、日本企業の権益獲得を支援しています。

日本企業の石炭権益獲得に向けて、戦略的に地質構造調査を強化

 JOGMECは2012年、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業開発総合機構)からの承継により、石炭開発事業を開始しました。JOGMECの強みである探査事業を石炭分野でも強化することにより、日本企業の権益獲得につなげていくことを目指します。
 権益を獲得するには、石炭開発の早期段階からの参画が必要となりますが、資金や技術面でのリスクも高くなります。こういったリスクを低減するために、JOGMECは、海外地質構造調査及び海外炭開発可能性調査を行っています。海外地質構造調査には、石炭新興国などの政府機関と実施する共同調査と、海外企業と実施するJV調査があり、将来的にJOGMECの権益を日本企業が引き継いでいくことを目指し、JOGMECが自ら実施しています。一方、海外炭開発可能性調査は、日本企業が行っている海外での石炭探鉱をJOGMECが資金面で助成するスキームです。

「JV調査」では、3つのプロジェクトを開始

 JV調査は、JOGMECが海外の企業と共同探鉱を行うスキームで、有望な探鉱結果が得られ、日本企業の関心が高まった時点で入札を行い、落札企業にはJOGMECが獲得した権益等を譲渡します。JOGMECは金属分野において、これまでに約100件のJV調査を実施し、その内の約10件を日本企業に権益譲渡しました。石炭分野でも2013年からJV調査をスタートし、現在は、オーストラリアのクリフォード地域(一般炭)、キルメイン地域(PCI炭*・一般炭)、ディンゴウェスト地域(PCI炭)で共同探鉱を行っています。金属分野でのJV調査の実績を石炭分野でも活かし、JV調査のプロジェクト数をさらに増やしていく予定です。

ベトナム、モザンビークでは「共同調査」を実施

ボーリング調査(ベトナム)

ボーリング調査(ベトナム)

 共同調査では、JOGMECが石炭のポテンシャルが高い発展途上国や産炭国とMOUを締結し、鉱区未設定地域等でJOGMECと当該国政府機関が石炭探査を行います。JOGMECが探鉱費を拠出して調査を行い、有望な結果が得られた場合、JOGMECが日本企業のために何らかの裨益を得るスキームです。共同調査は、現在、ベトナムのバクスイライ地域(無煙炭**)やモザンビークで実施中です。
 モザンビークは、昨今、石炭の生産が増加していることで注目を集めています。内陸のテテ州では4鉱山が生産中で、輸出に向けて道路等のインフラ整備が進んでいます。同州レブボープロジェクトには、新日鐵住金が参画するなど、日本企業も積極的に進出しています。JOGMECは、第2のテテ発見を目指しているモザンビーク政府とともに、フロンティアエリアでの共同調査を実施しています。また、同国の人材育成のための技術者研修も併せて進めており、モザンビークとの協力関係強化に向け、重層的かつ戦略的な取り組みを行っていきます。

* PCI炭:原料炭の一種。高炉操業の補助燃料として使用される微粉炭。
** 無煙炭:炭素含有量90%以上で燃やしても煙の少ない石炭。家庭用の練炭原料や電極材等に使用される。

資源開発事業の流れ

 

JOGMEC NEWS Vol.39
内容は2014年12月時点のものになります。
当記事が掲載された広報誌「JOGMEC NEWS Vol.39(2014年12月発行)」も併せてご利用ください。