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広報誌特集:国産資源 開発への挑戦/地熱(1)

地熱

 日本には、アメリカ合衆国(3,000万kW)、インドネシア(2,779万kW)に次ぐ世界第3位の地熱資源量(2,347万kW)ポテンシャルがあると言われています。しかし、地熱による発電出力はポテンシャルの2%強(51.5万kW)に留まっており、第1位のアメリカ(309.3万kW)、フィリピン(190.4万kW)に比べ、開発が遅れています。

日本における地熱資源開発のあゆみ

 1970年代以降、地熱資源の開発に向けて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などにより全国的な地熱資源調査が行われ、地熱発電所の建設が進められました。現在日本では、合計出力51.5万kW、17ヵ所で地熱発電所が稼働していますが、1999年の八丈島の地熱発電所を最後に新規の発電所は開発されていません。これは、地熱資源の多くが自然公園内に存在すること、「掘ってみなければわからない」という地下資源特有のリスクがあること、温泉や地元の方々との合意形成が難しいこと、また地質構造調査から地熱発電所の稼働までに長い期間を要することによる財務リスクなどがあるためです。しかし、2011年の東日本大震災以降、再生可能エネルギーの開発に拍車がかかり、地熱資源開発の促進は重要課題の一つとなりました。
 こうした状況下、2012年6月に再生可能エネルギーによる電力の固定価格買取制度※の導入や、自然公園内での地熱資源開発に対する規制緩和などが行われるとともに、2012年8月、JOGMECに地熱資源の開発を促進する機能が加えられることにより、地熱資源の開発を促進する環境が整いました。

※地熱資源の開発は、地表調査や調査井掘削に多額の費用がかかること、事業に結び付く成功率が低いこと(7%程度)等に鑑み、1.5万kW未満で1kWh当たり税抜き40.0円、1.5万kW以上で同税抜き26.0円という買取価格が設定され、調達期間は15年間とされました。

財務リスクの低減

 地熱発電は、発電時のCO2排出がほぼゼロであること、夜間や悪天候下でも安定的に発電が行えるなどの優れた特長を持っています。しかしながら、開発には様々なリスクが伴うため、JOGMECは、地熱資源開発の各段階において、事業者のリスクを低減するための取り組みを進めています。

地熱資源開発を支援するJOGMECの取り組み

 地熱資源開発では、プロジェクトの開始から地熱発電所の稼働までに10年以上の年数を要します。JOGMECは、地質構造調査に対する「助成」、坑井掘削などの探査に対する「出資」、発電所建設に対する「債務保証」という3つのスキームにより、開発事業者の参入を促しています。

地熱資源開発を支援するJOGMECの取り組み

助成(地熱資源開発調査事業費助成)

 初期の地表調査や坑井掘削等に必要な経費について助成金の交付を行い、事業者の地熱資源開発リスク低減を図っています。地熱資源を直接利用し、地元の地域活性化につながる発電事業を実施する事業者を「地元の地熱関係法人等」、それ以外の一般的な事業者を「地熱資源開発事業者」と区分し、1/2~定額(全額)の助成金を交付しています。

出資(地熱資源探査出資)

 地質構造調査が完了し、探査(貯留層評価)段階を迎えたプロジェクトに対して、最大50%(JOGMECが単独で最大株主または最大出資者とならない範囲)の出資を行います。プロジェクトの意思決定を行うのは、あくまでも事業者であるという考えのもとに出資を行います。

債務保証(開発債務保証)

 生産井・還元井の掘削や、発電所建設の段階に至ったプロジェクトに対して、債務保証を行っています。地熱資源の有望性、事業者の事業推進能力(財務・技術等)、事業の経済性をJOGMECが審査し、プロジェクトの債務を最大80%まで保証します。JOGMECが債務保証を行うことで、金融機関は貸付のリスクを低減でき、また債務保証手数料を0.4~0.8%とすることで、通常は5%程度になる借入金利を1%程度に抑えることが可能になるため、事業者は低金利の資金をプロジェクトに投入することができます。

地熱資源開発調査事業費助成金が順調に拡大

 

助成金交付事業採択案件

四宮 博氏

 この地域には、来年、開湯100年を迎える洞爺湖温泉がありますが、2000年の有珠山の噴火以降、温泉の温度が低下していました。私たちは、地熱開発のみを推進するのではなく、観光資源としての利用や、地域の電源としての利用など、観光事業者や行政と一体になり、地熱による地域振興のプランを描きながら事業を進めています。また、温泉資源への環境事前調査も1年かけて実施しました。今回、100℃の温泉(地熱)が湧出したことで、地熱利用による温泉卵「ジオたまご®」や野菜栽培などの観光資源開発も可能になり、洞爺湖温泉地域のポテンシャルが拡大しました。ここに来れば、地熱と温泉と地域が連携する姿を体験いただくことができます。

源泉の近くに設置されたバイナリー発電の建屋とジオたまご。

源泉の近くに設置されたバイナリー発電の建屋とジオたまご。



JOGMEC NEWS Vol.40
内容は2015年3月時点のものになります。
当記事が掲載された広報誌「JOGMEC NEWS Vol.40(2015年3月発行)」も併せてご利用ください。