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広報誌特集:アブダビ陸上油田の権益を獲得

アブダビ陸上油田の権益を獲得

2015年4月、INPEXがアブダビで陸上油田の権益5%を取得した。契約期間は2015年1月1日から40年間。
この快挙の裏には、長年にわたる官民一体による資源外交があった。

日本のエネルギー政策に必要不可欠なアブダビ

日本への国別原油輸入量割合

 世界有数の原油埋蔵量・生産量を誇るUAE。そんな同国を構成する7つの首長国の1つであり、UAEの原油・天然ガス生産の大半を占めるのがアブダビだ。長期的に安定した政治体制を持ち、安定的な原油供給を見込めるため、JOGMECは石油開発事業における最重要国と位置づけ、長年関係強化に取り組んでいる。

石油の長期安定供給につながるアブダビの陸上油田

 2015年4月27日、国際石油開発帝石株式会社(INPEX)が、アブダビ陸上油田の権益を5%取得し、大きく報じられた。アブダビ陸上油田の獲得は、日本の民間企業では初であり、日本にとっても巨大油田の権益獲得は、2009年のイラク・ガラフ油田以来の快挙である。JOGMECは、INPEXが参画するこの油田の開発・生産事業を、資産買収出資対象として同日付で採択し、今後出資を行う予定である。
 そもそも陸上油田は、海上油田に比べて生産コストが低いうえ、今回該当する鉱区では硫黄分が少なく良質な原油が生産できる。輸送面でも、パイプラインによりホルムズ海峡を回避できるため、中東情勢に左右されずに安定した輸出が可能だ。
 権益獲得の最大の利点は、石油の安定供給に直結する原油等の自主開発比率※の向上。今回の締結で、自主開発原油量が15%増加するとともに、自主開発比率も向上する見通しだ。

※自主開発比率=(日本企業の権益下にある原油・天然ガスの引取量+国内生産量)/(原油・天然ガスの輸入量+国内生産量)

2012年から稼働しているハブシャン・フジャイラパイプライン。UAEの中で<br />唯一インド洋に面しているフジャイラまで石油を送り、そこから船で輸送できる。<br />地政学上リスクのあるホルムズ海峡を回避できるため、安定した輸出が可能だ

2012年から稼働しているハブシャン・フジャイラパイプライン。UAEの中で
唯一インド洋に面しているフジャイラまで石油を送り、そこから船で輸送できる。
地政学上リスクのあるホルムズ海峡を回避できるため、安定した輸出が可能だ

官民一体となって取り組んだアブダビとの関係強化

政府は「エネルギー基本計画」で、原油・天然ガスの自主開発比率を2030年までに<br />40%に引き上げる目標を掲げている。今回の権益獲得はこれに大きく貢献する

政府は「エネルギー基本計画」で、原油・天然ガスの自主開発比率を2030年までに
40%に引き上げる目標を掲げている。今回の権益獲得はこれに大きく貢献する

 今般の権益獲得は、日本企業の実績とともに、日アブダビ間の緊密な関係が高く評価されたことでもあり、資源外交の大きな成果と言える。
 アブダビ側の選定にあたっては、石油開発企業の実績や提案内容に加え、2国間関係なども検討対象にされている。日本は50年近く官民一体となってアブダビの石油開発に従事し、同国からの信頼を得てきた。加えて、政府は近年、アブダビを中心とするアラブ首長国連邦(UAE)への資源外交を積極的に行っている。2013年には安倍晋三内閣総理大臣がアブダビを訪問し、2014年にはアブダビのムハンマド皇太子が訪日している。その中で安倍首相は、教育と医療に関心が高いアブダビに対し、日本の大学への留学生受け入れや、高度医療機関への患者の受け入れ拡大を約束するなど、関係強化に努めてきた。

研修事業を中心にJOGMECも大きく貢献

 こうした中、JOGMECも長年にわたり、技術協力事業や人材育成事業でアブダビをはじめとする産油国との関係強化に取り組んできた。中でも人材育成を目的とした研修は1989年から産油国を対象に行っており、2014年12月末時点で、UAEから278名の技術者らを招いている。
 また最近の特筆すべき出来事として、2013年2月にアブダビ国営石油会社(ADNOC)とJOGMECとの間で調印した「石油・天然ガス分野における技術協力に関する覚書」が挙げられる。その中でJOGMECは、(1)石油・ガス田での操業上の問題を日本の先端技術を使って解決、(2)これらの技術を活用するための人材育成・研究、(3)炭酸ガス(CO2)を用いた原油増進回収法(CO2EOR)および温暖化ガス削減に寄与する海上油田での実証試験の共同推進の3点について強化する意向を表明。関係強化に向け、大きな役割を果たした。
 JOGMECを含め官民一体となって成果に結びついた今回の権益獲得。今後もJOGMECは、技術協力事業や人材育成事業を通して、より多くの産油国との関係強化に努め、さらなる権益獲得を目指していく計画だ。

JOGMEC研修メニューとUAE実績

通常研修

 1989年に開始。物理探鉱、掘削マネジメント、油層工学、探鉱地質の4つのコースを設置し、広く産油国からの研修生を招へいしている。UAEからは2014年12月末までに72名が受講。

フェローシップ研修

 1996年から実施。日本企業が海外の技術者らを招き実施する研修費用をJOGMECが支援するもの。UAE大学、アブダビ石油専門大学の学生向けに実施した研修等を支援してきた。これまでに141名が受講。

特別研修

 国別またはテーマ別に実施する研修。UAEのみを対象とした技術者向けの特別研修は、2014年度より開始し、これまで24名が受講。

  • 2014年度にUAE特別研修として開催した「石油プラントの計装制御システムコース」の修了式の様子

    2014年度にUAE特別研修として開催した「石油プラントの計装制御システムコース」の修了式の様子

  • 本コースでは、制御システムなどを用いたワークショップが行われた

    本コースでは、制御システムなどを用いたワークショップが行われた

CO2EORとは

CO2を使った原油増産技術

CO2EORとは、CO2を油層に圧入し、油を井戸に向け移動させて原油生産量を増やす技術(右図)。近年の研究により、原油回収率の大幅な向上が確認されている。長年この技術を研究するJOGMECは、発電所や製油所の排気ガスからCO2を回収・再利用するための技術開発も進めており、CO2の大気中への排出抑制にも寄与する技術として、注目されている。

CO2EOR




JOGMEC NEWS Vol.41
内容は2015年6月時点のものになります。
当記事が掲載された広報誌「JOGMEC NEWS Vol.41(2015年6月発行)」も併せてご利用ください。