資源ライブラリ
ホーム >  資源ライブラリ >  石油・天然ガス開発 >  石油開発最新事情:​国内資源​人材育成の取り組み

石油開発最新事情:​国内資源​人材育成の取り組み

1.事業の概要

 我が国石油開発会社は、自社の技術者育成のため、国内外の現場への配属によるOJTを実施しているものの、商業生産を前提としたコスト重視の現場において、限られた期間かつ人員の中での育成には限界があり、その結果、坑井の掘削技術、検層技術(坑井で取得される物理データをもとに地層を評価・解釈する技術)の一部においては、技術・ノウハウを有する外国企業/外国技術者へ外注することが一般的であり、我が国企業に技術・ノウハウが蓄積されにくい状況にあります。
 また、海外資源メジャーでは潤沢な資金を背景に先端技術IT(シミュレーション)を利用した技術継承、人材育成プログラムを進めていますが、我が国石油開発会社は、技術と経験を積んだ技術者の数が限定的であることから、単独での社内研修用設備等を導入し、人材育成を進めることは困難な状況にあります。
 今後、日本海周辺海域の資源開発を含め、国内外の油ガス田において日本企業がオペレータシップをもち主導的に操業する可能性が高まっており、国内資源人材の育成強化は喫緊の課題となっております。
 JOGMECは中立的な機関であり、海外から優秀な技術者等の招へいが可能であること、特に重要分野である掘削技術と検層技術について、JOGMECが有する世界最先端の掘削シミュレータや検層解析ソフト等を活用し、集中的に研修等を実施することが可能であるため、上記の課題解決のための国内資源人材育成に取り組むこととしております。

2.掘削関係の各種コース(主として掘削クルーコース)

 掘削技術者に対するJOGMECの人材育成プログラムとしては、学生には大学出張講座、若手技術者には、作井技術基礎コース、各社の新人研修のサポート、技術講座・基礎講座等の座学のほか、若手からベテラン技術者に対してはウェルコントロール講習会(掘削現場において必要となる掘削資格の取得を目的として実施する講習会:JOGMECは我が国における唯一の認証団体)を実施してまいりました。
 掘削クルーコースは、JOGMECが国内外の石油開発事業において掘削作業をスーパーバイズする人材、掘削作業に従事する人材の育成を実施し、本邦掘削技術者のプレゼンス向上を目指すことを目的とし、既に実施しているウェルコントロール講習会に加えて、平成27年度より実施しています。
 また、オペレータ側の人材育成として、現在、掘削エンジニアコースの開設準備を行っているところです。

掘削関係の各種コース

JOGMECの掘削シミュレータを活用したコースを紹介します。
〇ウェルコントロール講習会 (現場作業従事者/オペレータ監督者)
 掘削作業上、大災害に繋がりえるトラブルとしてキックがあり、これに安全に対応できるスキルを掘削作業従事者に習熟させるため、世界標準の認証を持つ事が世界的な最低限の規則となっています。オペレータ監督者も本技能を習得している必要があり、本邦石油会社も掘削エンジニアに履修させています。

〇掘削クルーコース(現場作業従事者:掘削コントラクター向け)
 掘削現場では、逸泥、抑留、キック等、様々な掘削作業上のトラブルに遭遇します。掘削クルーはこれらのトラブルに即時対応できる知見が必要となりますが、トラブルは常に発生するものではなく、効果的な訓練は難しいため、トラブルを再現できるシミュレータを用いて模擬トラブル対処経験を積むことが可能となります。

〇掘削エンジニアコース(オペレータ監督者:石油会社向け)
 オペレータのエンジニアは、掘削の現場では現場監督となります。コントラクターの操業を適切に監督するためには、トラブルに際し的確に対応・指示する必要があり、計画段階からのプロジェクトマネジメント、保安等の座学を組み合わせたカリキュラムによる研修を予定しています。(現在、テキスト等を作成している段階です。)

 以下に、平成27年度に開設した掘削クルーコースのカリキュラムをご参考までに掲載いたします。

 基本的には、DrillSIM-5000(DS5000)、DrillSIM-600(DS600)といったアナログ式とデジタル式の2台のシミュレータを活用して繰り返し、基本動作を行いつつ、講師がプログラムしたトラブル事象に対して、トラブルに対応した動作を学ぶこととなります。
 シミュレータの優れたところは、本来、現場で遭遇する前に疑似事象を経験することにより、慌てることなくトラブルに対処していけるようになることで、掘削技術者が自信をもって現場に臨めるように研修を実施しております。
 なお、1回の講義は3名とし、シミュレータに触れる時間を可能な限り増やし、最終段階では3名が役割分担し、掘削クルーとしてトラブルに対応できるよう、研修カリキュラムを構築しております。


<平成27年度掘削クルーコース カリキュラム>

開催期間 5日間
受講対象者 ・ドリラー候補者&ウェルコントロール受講者
・同程度の知識・経験を有する技術者
受講コース DrillSIM-5000(図1) DrillSIM-600(図2)
受講人数 最大3名 最大3名
リグタイプ セミサブ ジャッキアップ
マニュアル サイバー
講義項目 掘削編成揚降管作業解説・演習
掘削作業解説・演習
コンペンセーター解説 サイバーシステム解説
トラブル演習

コース紹介
  • 図1:DrillSIM-5000

    図1:DrillSIM-5000

  • 図2:DrillSIM-600

    図2:DrillSIM-600

3.検層解析・評価コース

 地質技術者に対するJOGMECの人材育成プログラムとしては、学生には大学出張講座、若手・中堅技術者には基礎講座・国内専門技術講座等を実施してまいりました。検層解析技術はそれら地質系の講座の一部として網羅されておりましたが、掘削関係のコースと同様、平成27年度より、検層解析技術に焦点を当てたより専門的なコースとして検層解析・評価コースを開始いたしました。
 提供講座は、JOGMEC職員が担当するものと検層解析の専門コンサルタントが担当するものに大別しております。JOGMEC職員による講座は砂岩貯留層・シェーリーサンド貯留層における解析技術習得を目標とした中級レベルのものとし、業界全体の若手~中堅技術者の検層解析能力の全体的な底上げを図ることを目的としております。一方、専門コンサルタントによる講座は、低比抵抗層・フラクチャー型貯留層・火山岩貯留層等、一般的に解析が困難とされる特殊な貯留層、或いはNMR(Nuclear Magnetic Resonance)検層・ECS(Elemental Capture Spectroscopy)検層・EPT(Electromagnetic Propagation Tool)検層等、近年における技術進展が認められるツールに焦点をあてた上級レベルの講座とし、より高い専門性を有する検層解析の技術者を育成していくことを目的としております。

検層解析・評価コース

 検層解析・評価コースと今までの国内専門技術講座との大きな違いとして、検層解析・評価コースでは座学に割り当てる時間を極力減らし、ソフトウェアを用いた演習・ワークショップを通じて、技術を習得することに重点を置いております。ゴールは座学による基本原理の理解に加えて、各講座内容に係る技術を実務として扱えるレベルで習得することにあります。以下が各講座の基本方針となります。

○JOGMEC職員担当講座
 Excelを用いた解析演習を多く取り入れ、検層解析の基礎理論、シェーリーサンド解析に係る理論式(Simandoux, Indonesian, Waxman-Smits, Dual Water等)、コアによる解析結果の補正、ネットペイ区間の設定、毛細管圧による水飽和率の推定までの技術習得を目的とします。また、近年解析技術や関連ツールが多く開発されているThin Bedについても、シェーリーサンド貯留層の一部として、基本的な解析方法を座学・演習で取り扱います。年1回の開催を予定しております。

○専門コンサルタント担当講座
 一部検層解析の専門ソフトウェアを用いますが、各社所有する検層解析ソフトウェアが異なるため、JOGMEC職員の担当講座と同様に、ソフトウェアに依存する演習を極力省き、Excelを用いた解析手順が追跡出来る演習を追加することで、理論面の理解・習熟に重点をおくようにいたします。年1-2回の開催を予定し、講座で取り扱うテーマは、前年度の講座参加者へお願いするアンケート、並びに講座参加会社へ送付するニーズ調査アンケートに基づき選定いたします。

 以下に平成27年度に開設した検層解析・評価コースのタイトルをご参考までに掲載いたします。

 平成28年度の講座として、JOGMEC担当のものは、昨年度試験開催させて頂いた講座のアンケート結果を基に、Thin Bed解析の座学・演習内容の修正、シェーリーサンド解析演習へのコアデータの取り扱い・ネットペイ区間の設定等を追加したものを開催する予定でおります。また、専門コンサルタント担当講座は、担当者間で内容を協議中ではありますが、ご協力頂いたアンケート結果を基に昨年度同様に1-2件の講座開催を予定しております。

<平成27年度検層解析・評価コース 実施講座>

講座1(図3)
内容 Practical Application of NMR Logging for Reservoir Evaluation
期間 2016年2月16日(火)~ 2月19日(金)
担当会社 Resrvoir Rock Typing ソフトウェア LogIC / Excel 参加者 10名
講座2
内容 Practical Well Log Interpretation for Low Resistivity Low Contrast Pay Zone
期間 2016年2月23日(火)~ 2月26日(金)
担当会社 Schlumberger ソフトウェア Techlog / Excel 参加者 13名
講座3(図4)
内容 貯留層評価実践コース(シェーリーサンド解析)
期間 2016年3月8日(火)~ 3月10日(木)
担当会社 JOGMEC ソフトウェア IP / Excel 参加者 22名

  • 図3:専門コンサルタント担当講座 

    図3:専門コンサルタント担当講座 

  • 図4:JOGMEC担当講座 Excelでの解析例

    図4:JOGMEC担当講座 Excelでの解析例

免責事項
本資料は(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油開発技術本部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。
また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。
したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。