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石油開発最新事情:三次元物理探査船「資源」による調査活動の紹介

1. はじめに

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)では、我が国周辺海域に存在する石油・天然ガス資源の精細なデータを効率的・機動的に収集することを目的に、経済産業省所有の公船として導入した三次元物理探査船「資源」の運航管理及び調査を受託し、平成20年度より「資源」を活用した海上の「国内石油天然ガス基礎調査」を実施しています。
 ここでは、「資源」導入の目的、調査方法、「資源」の装備、「資源」の調査実績について紹介します。

2. 「資源」導入の目的

図1 「資源」(平成25年8月)

図1 「資源」(平成25年8月)

 東日本大震災以降、我が国では石油・天然ガスの需要が増大しており、平成24年度末時点では一次エネルギー供給源の約7割を占め、石油・天然ガスは今後も重要なエネルギー資源の一つとして位置づけられます。しかしながら、我が国は国内資源に乏しいことから、その供給源のほとんどを海外からの輸入に依存しており、資源の安定的かつ低廉な供給確保の観点から、資源外交を含めた多方面の対応が不可欠です。
 一方、世界6位の排他的経済水域を有する我が国にとって、我が国周辺海域に存在する石油・天然ガスは、その供給安定性という観点からすれば、最も安定的なエネルギー資源です。
 このため、国は、民間企業の事業活動を補完し、促進することによって、国内における資源の探鉱・開発を進め、国産石油・天然ガス資源の生産量拡大を目指す観点から、国の事業として、基礎物理探査及び基礎試錐からなる国内石油天然ガス基礎調査を実施しています。
 これまでの学術的調査等の結果、我が国周辺の約84 万km2の海域において、水深2 千m 以下で、かつ堆積物の厚さ2 千m 以上の堆積盆地を抱えていることが判明しています(図2)。
 国内石油天然ガス基礎調査は、我が国における油田・ガス田の探鉱・開発という企業活動との関係において、国が先導的に調査を行うものであり、こうした観点から、その実施の際には積極的に世界の先端技術導入に努めてきました。その一つが三次元物理探査技術です。
 油田・ガス田を発見するには、実際に坑井を掘削すること(試掘)により原油・天然ガスが地下に存在しているか否かを確認する必要がありますが、その成否は試掘に際してのロケーション選定が重要な鍵となります。
 三次元物理探査は、従来の二次元物理探査に比べ試掘ロケーション選定の精度を飛躍的に高めるものであり、平成20年2月に経済産業省所有の公船として我が国初の三次元物理探査船「資源」が導入されました。「資源」は、経済産業省所有の公船です。「資源」の運行管理、調査の実施については、JOGMECに委託されています。

  • 出所:海洋エネルギー・鉱物資源開発計画(平成25年12月)<br />図2 石油・天然ガス賦存ポテンシャルの高いエリア<br />(堆積物の厚さ2,000m以上の堆積盆)

    出所:海洋エネルギー・鉱物資源開発計画(平成25年12月)
    図2 石油・天然ガス賦存ポテンシャルの高いエリア
    (堆積物の厚さ2,000m以上の堆積盆)

  • 表1 「資源」の主要諸元

    表1 「資源」の主要諸元

3. 調査方法(データ取得、データ処理、データ解釈)

 「資源」の調査方法は、大きく3つの要素に分けられ、データ取得、データ処理、データ解釈と呼ばれています。
 データ取得では、エアガンと呼ばれる装置から音波を発震し、海底面や地層の境界に当たってかえってきた反射波を、ハイドロホンを内蔵したストリーマーケーブルで受振し解析することで、三次元的に地下構造を把握します。

図3 データ取得

図3 データ取得

(※1)ディルトフロート:ストリーマーケーブルを適切な深度に調整するために、ストリーマーケーブルの前方に 接続するブイ。


 広大な海域で取得されたデータは、数テラ・バイト(テラは、1兆)もの膨大な量となります。さらに、そのデータには、様々な環境ノイズ(例、潮流・波のうねりのノイズ)が含まれてしまっています。
 データ処理では、そのような大規模なノイズ除去処理や科学計算処理を、スーパーコンピュータで実行します。  その結果、海上から不可視だった地下構造を、視覚化することができます。

図4 データ処理

図4 データ処理

 データ解釈では、データ処理後のデータを用いて海底面下の構造や周辺の構造発達史を解釈するとともに、その海域や堆積盆での炭化水素のポテンシャル(有望性)を評価します。

図5 データ解釈 - 石油システムを構成する地下構造パターン

図5 データ解釈 - 石油システムを構成する地下構造パターン

4. 「資源」の装備

 主な「資源」の構造的な特徴を紹介すると、「資源」は7層で構成されており、第1層に操船を行うブリッジ(船橋)があります。第2層後部には、乗組員交替や急病人が発生した場合の緊急搬送が可能なヘリデッキがあります。第4層には、中央部に観測室があり、観測用のコンピュータ類、モニターが設置され、調査中は調査員が12時間交代で調査全体の管理やデータ処理を行っています。第4層後部はストリーマーデッキとなっており、通常時はストリーマー等調査機器類が保管されています。ストリーマーデッキは、調査時にデッキ後部よりストリーマーの展開・揚収作業を効率的に行うため、第3層との吹き抜け構造になっており、2層分の高さがあります。第4層前部は、機関室となっており、ディーゼル発電機、ボイラーが配置されています。第6層後部にガンデッキがあり、エアガン・アレイ、エアガン、テールブイ、作業艇等が保管されています。これらの機器類の海上への投入、回収はデッキ後部より行います。また、船体前部にコンプレッサー室があり、調査時にはエアガン充填用の高圧空気を発生させています。

図6 「資源」の装備

図6 「資源」の装備

5. 「資源」の調査実績

図7 「資源」の平成19~27年度の調査実績

図7 「資源」の平成19~27年度の調査実績

 「資源」による基礎物理探査については、平成30年度までに我が国周辺海域において概ね62,000km2の三次元物理探査を行うことを目標としています。平成27年度末までに、日本周辺の30海域、3Dは約42,905km2、2Dは約18,030km2ついて、三次元物理探査を実施済みであり、ほぼ計画どおりに進捗しています。
 なお、技術移転に関しては、操船技術は平成21年3月末には完了、探査技術についても本年度4月に初の日本人主体による物理探査を実施しました。今後も、更なる技術力の向上のために、日本人による海上物理探査を推進していきます。

6. おわりに

 三次元物理探査船「資源」により取得したデータは陸上に送られ、データ処理・解釈を実施し、石油・天然ガスの賦存が期待される地下構造が抽出されます。その後、国による基礎試錐や民間による試掘等により商業化のための経済性評価が行われ、開発へ進んでいくことが期待されます。そして、これまでの調査の結果、有望な海域も発見され始めています。
 こうした取り組みが現在は開発フロンティアといえる日本周辺海域の石油・天然ガスの開発を後押しし、将来的に石油・天然ガスの国内生産量の増加、ひいては我が国のエネルギー資源の安定供給確保に資することが期待されます。
それに向かって、JOGMECは三次元物理探査船「資源」の運航管理及び調査を安全かつ効率的に取り組んで参ります。

免責事項
 本資料は(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油開発技術本部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。
 また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。

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