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石油開発最新事情:TRCの実験部隊、実験・研究基盤課とは

 石油開発技術本部・技術部実験・研究基盤課は、石油開発技術の研究開発を行う研究者から依頼を受け、研究に必要なデータを取得することです。本メルマガでは、地球化学や地質学、石油工学等多岐に亘るデータ取得を主体的に行う実験・研究基盤課の業務について紹介します。

1.実験・研究基盤課とは

 実験・研究基盤課は、石油・天然ガスの探査・開発に係る実験・分析技術の研究開発や、技術部内外の関係部署と協同で関連する実験及び分析業務等を実施することを目的として平成26年4月1日に設置されました。実験・研究基盤課の前身となる体制において実験・分析担当者は、石油工学や地質・探査等の各専門部署内に分野別に配属されていましたが、組織改編により同一の部署に集約した現在の体制となりました。主な専門分野は、油層工学系・地質地化学系・物理探査系から構成されており(図1)、石油・天然ガスの探査・開発を実験的側面からサポートするため、分野にとらわれない横断的な実験、分析及び評価を行っています。また、現状の実験・分析技術の改良/改善を行うことに加え、従来の石油・天然ガス分野とは異なる新たな視点での実験・分析技術の適用も調査/検討しています。

図1 実験・研究基盤課の分野構成イメージ図

図1 実験・研究基盤課の分野構成イメージ図

2.横断的な実験・分析・評価

 実験・研究基盤課が実施している横断的な実験・分析・評価の一例として、「岩石の孔隙構造評価」を紹介します。岩石構造を評価する手法として、マイクロX線CTスキャナや走査型電子顕微鏡等から可視化する直接的な評価手法、ガスや水銀の圧入・排出挙動から解析理論を用いて間接的に評価する手法があります。双方の手法には長所・短所があるため、これらの手法を併せた評価を行うことにより、相補完的な評価が可能となります(図2)。実験・研究基盤課ではこのように単一の実験装置によるデータ取得に加え、複数の装置による測定データを用いた総合的な解析手法の検討を行っています。

図2 横断的な実験・分析・評価の一例<br />(岩石の孔隙構造評価手法のイメージ)

図2 横断的な実験・分析・評価の一例
(岩石の孔隙構造評価手法のイメージ)

3.実験・分析技術の改良/改善

 実験・研究基盤課では、中長期的な視点に立ち実験・分析技術の維持/向上を目的とし、ハード面である「機器・手法」及びソフト面である「継続的に技術伝承を実施する体制」の改良/改善を行っています。
 (1)実験・分析機器及び手法の改良/改善
流動試験装置に代表される独自で構築した実験システムを継続的に改良/改善することにより、測定精度の向上や新たな評価技術の適用を試みています。一方で、使用頻度が高くニーズがあるものの老朽化により測定に支障を来す場合や、要求される技術のレベルが上がり仕様が充足できなくなった既存の装置を更新することにより、技術力の維持・向上を図っています。例えば、岩石内部における流体の流動性評価する上で重要な因子である毛細管圧力や相対浸透率を評価する遠心分離機の仕様のアップグレードを行うことにより、直径1インチサイズの岩石試料に対しても従来の大気圧下における測定のみならず高温・高圧条件下、すなわち貯留層条件下における毛細管圧力測定を行うことが可能となり、流動試験等との比較から統合的な流動特性の評価を検討しています。また、近年開発が盛んなシェールオイル、シェールガス試料に代表される、超低浸透性試料の評価に対応するため、50nD以下の浸透率測定を可能にする装置の導入も行っています。
 (2)継続的な技術伝承に関わる体制の改良/改善
実験・分析技術のレベルを維持及び向上させるため、新たな人材を獲得し熟練技術者を中心とした技術伝承が行える体制を構築すると共に、熟練技術者・中堅技術者が講師となり課員の技術力向上を目指した勉強会等の実施を行っています。熟練技術者が有する技術はマニュアル化できる情報と異なり一朝一夕で蓄積できるものではないため、熟練技術者と若手職員がマンツーマンで作業を実施すること等により先人が育んだ技術を途絶えさせないよう技術の継承を進めています。

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