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世界初、コバルトリッチクラストの掘削試験に成功
~海底に存在するコバルト・ニッケルの資源化を促進~

2020年8月21日

 JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:細野哲弘)は、経済産業省の委託を受け、2020年7月に南鳥島南方の我が国の排他的経済水域内において、世界で初めてコバルトリッチクラスト(注1)(以下、「クラスト」)の掘削試験を実施、成功しました。試験の前には国際的に認められたルールに沿って周辺環境への影響を検討し、深刻な影響が生じないことを慎重に確認しています。これら一連の取り組みは、日本の海洋鉱物資源開発に必要な技術の確立に向けた大きな一歩となります。
 なお、クラストには電池材料として不可欠なコバルト、ニッケルが含まれており、試験海域に相当量の資源ポテンシャルが見込まれることから、貴重な国産資源となることが期待されています。

クラスト掘削試験の概要

  • 採掘試験機の外観

  • 遠隔操作無人探査機(ROV)から見た掘削の様子

クラスト掘削試験の概要

 JOGMECは南鳥島南方の排他的経済水域に位置する拓洋第5海山平頂部(水深約930メートル)において、海底熱水鉱床用に開発した採掘機をクラスト用に改造して掘削試験を行い、海底の傾斜地や砂地を含む諸条件の下、掘削効率や走行性能などの掘削技術に関するデータを取得するとともに、649キログラムのクラスト片等を回収しました。
 掘削試験の実施にあたっては、事前に周辺環境への影響を検討し、深刻な影響が生じないことを慎重に確認しました。また、試験海域において掘削試験中に環境モニタリング、掘削試験後に濁りや再堆積、騒音といった環境データの回収を行い、併せてクラスト掘削による環境への影響を評価します。
 今回の掘削試験は、JOGMEC所有の海洋資源調査船「白嶺」を用い、JOGMEC職員(調査団長:五十嵐 金属海洋資源部長)が試験を統括し、大学等の外部有識者から構成される海洋鉱物資源開発検討委員会やワーキンググループのご指導・ご助言を踏まえ、JOGMECから委託を受けた三菱造船株式会社、住友金属鉱山株式会社および三菱重工業株式会社からなるコンソーシアムが中心となって、産学官の連携体制で実施しました。

クラストの資源量としてのポテンシャル

 JOGMECによるこれまでの調査結果から、拓洋第5海山には電池材料として不可欠なコバルトが日本の年間消費量の約88年分、ニッケルが約12年分存在することが期待されています。
  • 海底面のクラスト賦存状況

  • 掘削試験によって回収されたクラスト片

今後の予定

 国の定めた海洋エネルギー・鉱物資源開発計画(2019年2月策定)に基づき、掘削試験の結果を解析し、クラストを効率的に掘削する技術を検証するとともに、クラスト専用の採掘試験機の概念・詳細設計を目指します。
 JOGMECは平成30年度に、試験海域付近からドレッジ(注2)で採取したクラスト試料を用いた選鉱(注3)・製錬(注4)試験を実施しています。実験室での試験の結果、クラスト試料からコバルト、ニッケル、銅を個別の金属として回収できることを確認しました。今後は掘削試験で回収したクラスト試料を用いてスケールアップした選鉱・製錬試験を実施することで、平成30年度に適用した選鉱・製錬プロセスの再現性を確認し、最適な生産技術の検討を進めます。
 併せて、拓洋第5海山の資源量評価や環境影響評価を実施し、令和4年度までにクラストを対象とする開発技術を総合的に評価・検証していく予定です。

用語の説明

(注1)コバルトリッチクラスト
 北西太平洋域の海底に点在する海山の水深約800~2,400メートルの山頂部から斜面にかけての岩石(基盤岩)を覆う厚さ数ミリメートル~十数センチメートル程度のマンガン酸化物で、コバルト、ニッケル、銅、白金、マンガンなどの金属を含む。
(注2)ドレッジ
 低速で航行する船にケーブルなどでドレッジャーと呼ばれる金属製のかごをつなぎ、海底を引きずることで岩石などを集める方法。
(注3)選鉱
 鉱石から有用鉱物を選別するための破砕、不用鉱物の分離などの一連の処理を指す。JOGMECが実施したクラストの選鉱試験においては、クラスト試料を破砕し、比重差によって基盤岩を分離・除去することをいう。
(注4)製錬
 鉱石または選鉱によって得られた有用鉱物から特定の金属を抽出するための一連の処理を指す。JOGMECが実施したクラストの製錬試験においては、基盤岩を分離・除去した後のクラスト試料を高温の炉で溶かして金属分を濃縮し、薬液により溶解させた液からコバルト、ニッケル、銅を析出させることをいう。

海洋鉱物資源の分布のイメージ

海洋鉱物資源の分布のイメージ

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