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技術ソリューション事業 技術開発テーマの決定
~平成27-29年度フェーズ2案件公募採択と事業開始のお知らせ~

2015年8月18日

 JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:河野博文)は、平成27-29年度における技術ソリューション事業技術開発公募(技術開発・実証プロセス フェーズ2)において、「セラミック膜による随伴水処理技術の小規模実証試験」を採択しました。

 JOGMECは、平成25年度より技術ソリューション事業を実施しています。本事業を通じて、産油ガス国の国営石油・ガス会社、あるいは国際石油・ガス会社等(以下「産油国等」)が抱える技術的課題(ニーズ)に対し、JOGMECと日本企業が一体となって、解決策(ソリューション)を提案していくことで、日本と産油国等との関係をさらに強化したいと考えています(図1)。
 今般の技術開発公募において、小型で高性能かつ安価な随伴水処理に関するニーズに対して、坑井元におけるセラミック膜を使用した随伴水処理技術の適用によるソリューションを提供することを目的に、セラミック膜ろ過システムを保有し、かつ当機構と共に実証試験を実施できる日本企業として、国際石油開発帝石株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:北村 俊昭氏、以下「INPEX」)からの提案を採択し、7月に事業を開始しました。
 今後JOGMECは、INPEX、および共同実施先である千代田化工建設株式会社ならびにメタウォーター株式会社とともに小規模実証試験を通して随伴水処理技術を確立し、次期フェーズでは産油国等における現場実証を実施し、本技術が石油・天然ガス分野における日本の最先端技術となるように取り組んでまいります。

図1 技術ソリューション事業のコンセプト図

図1 技術ソリューション事業のコンセプト図

図2 事業フェーズの概念図

図2 事業フェーズの概念図

採択案件の紹介

(1)採択案件名 セラミック膜による随伴水処理技術の小規模実証試験
(2)実施期間 平成27年7月24日から平成30年1月31日
(3)予算概要 約10億円
(4)実施内容 油田からの随伴水を、セラミック膜ろ過システムを用いて処理する技術の確立
(5)実施場所 INPEX国内事業本部東日本鉱業所 秋田鉱場 外旭川プラント内及び隣接地
(6)装置能力

随伴水処理能力 日量150キロリットル

(7)採択案件の技術概要

セラミック膜による随伴水処理技術

 本案件で開発を進める技術は、図3に示す公称孔径0.1μmのモノリス型セラミック膜※1で、ろ過膜の分類ではMF(Microfiltration)膜※2 に分類される膜を使用し、随伴水に含まれる油分と浮遊物質(SS:Suspended Solid)を分離除去する技術です。
 現状、随伴水処理は概ね4~5段階にわたる処理が必要とされており、(1)比重差を利用したタンク内油水分離、(2)サイクロン(遠心分離)や浮上分離による微小油分の分離、(3)砂ろ過やカートリッジフィルターによる細粒油分のろ過、(4)セラミック膜等による微細粒子等の精密ろ過、(5)逆浸透膜や蒸発法による塩分除去等が行われています。これらの技術を組合せると、広い装置設置スペースが必要であり、かつ個々の装置費用、さらには各装置の運転およびメンテナンス等の費用がかかるため、省スペースで経済的な随伴水処理システムが求められています。本案件で使用するセラミック膜は、耐油性に優れ、高分子膜に比べ透水性能が比較的高い特徴を有しています。さらに、他社製品に比べ大型で一本当たりの膜面積が大きいため、他社製品よりも少ない本数で処理できることから設置面積を小さくすることが可能です。このため、開発する技術は2段階(上述の(2)と(3))程度工程を簡略できることから、安価で省スペース化を実現することができます。
 また、今回採択した小規模実証試験計画では、前処理としての浮上分離技術との組み合わせおよび後処理として塩分除去のための逆浸透(RO:Reverse Osmosis)膜との組み合わせにより、大きく変化する原水性状においても安定した処理を継続し、河川放流可能な処理水性状を達成できる水処理システムの実証を行います。

※1 モノリス型セラミック膜:1本の円柱状セラミックスに蜂の巣状に孔が開いた形状を有するろ過膜。
※2 MF膜(精密ろ過膜)とは、ろ過膜の一種で、孔径が概ね0.01μm~10μm程度のものをいう。

図3 セラミック膜

図3 セラミック膜

技術必要性の背景と今後の展開

 世界のエネルギー需要の増大、油田老朽化にともなうウォーターカット増加のため、世界の油ガス田随伴水の生産量は年々増大しています。油ガスの生産継続のためには、随伴水を廃棄する廃水井の追加掘削や排水処理設備の増設など、追加投資が必要です。さらに、近年の環境意識の高まりに伴う随伴水の海洋投棄や地下圧入の制限に向けた動きや、IOR(Improved Oil Recovery:二次回収)実施の増大に伴い、要求処理水質レベルは上昇し(例えば、地層の閉塞を起こさないように、SS濃度5mg/L以下、SS粒径1μm以下など)、より高度な水処理技術が求められようになってきています。また、近年開発が進むシェールガスやタイトオイルの開発にあたっては、フラクチャリング等で大量の水を使用する必要があることから、使用する水の確保もさることながら、これをフラクチャリングに利用できる水質とするための用水処理技術や、フラクチャリング後に戻ってくるフローバック水の廃棄や再利用するための水処理技術が重要になってきています。最近の随伴水・フローバック水の生産量は、日量約3億バレル(4千8百万トン)に達しており、今後も増大する傾向にあります。
  随伴水処理は、油ガス生産コスト増につながることから、本技術開発にて、セラミック膜ろ過システムの性能と安定した運転が確認されれば、現状の随伴水処理工程が簡略され、シンプル且つ経済的な処理システムとして油ガス田の開発はもとより老朽油田の再開発においても多大な貢献が期待されます。

この記事に関するお問い合わせ先

技術ソリューション事業グループ  末廣 

TEL 03-6758-8671

総務部広報課  乾 

TEL 03-6758-8106