メタンハイドレートは、資源に乏しい日本にとって国産エネルギーとなることが期待されており、我が国の周辺海域にも、多く存在すると推定されています。
このメタンハイドレートを資源として開発するため、2001年7月に経済産業省によって「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」(以下「開発計画」)が策定されました。開発計画は2001年度から2018年度の18年間に及ぶ長期計画(当初計画では、2016年度までの16年間であったが2008年度の中間評価時に変更)であり、次の6つの目標が設定されています。
- 日本周辺海域におけるメタンハイドレート賦存状況と特性の明確化
- 有望メタンハイドレート賦存海域のメタンガス賦存量の推定
- 有望賦存海域からのメタンハイドレート資源フィールドの選択、並びにその経済性の検討
- 選択されたメタンハイドレート資源フィールドでの産出試験の実施
- 商業的産出のための技術の整備
- 環境保全に配慮した開発システムの確立
上記目標を達成するために、開発計画は3段階のフェーズ・アプローチを提案しています。フェーズ1(2001年度から2008年までの8年間)は主として上記1,2,3の目標に取り組み、東部南海トラフ海域をモデル海域とした資源量評価を行うとともに、カナダ永久凍土地域において2回の陸上産出試験を実施して、減圧法によるメタンハイドレート層からのガス生産手法の有効性を確認しました。フェーズ 2(2009年度から2015年度までの7年間)では、主として4以降の目標に取り組み、世界初の海洋におけるメタンハイドレート層からのガス生産試験(第1回海洋産出試験)を実施しました。
2016年度から開始しましたフェーズ3(2016年度から2018年度)では、主として5以降の目標に取り組んでおり、2017年4月~7月に第2回海洋産出試験(ガス生産実験)を実施しました。
現在は第2回海洋産出試験で得られたデータの解析・評価等を実施中です。
2016年度よりフェーズ3を開始しました。フェーズ3では、将来の商業化の実現に向けた技術の基盤を整備すること(※)として以下の達成目標を掲げ、2回目の海洋におけるガス生産実験を行うとともに、併せて、米国を候補地とする長期陸上産出試験の実現を追及します。
(※)平成30年代後半に民間企業を主導とする商業化のためのプロジェクトが開始されることを想定
- 一定期間の生産実験を通じて、将来的に長期のガス生産が可能な技術基盤が構築しうると判断できる知見・データが蓄積されていること
- 一定期間の生産実験を通じて、ガスの生産挙動が把握されており、更に長期のガス生挙動についても一定の精度で予測可能な技術レベルに達していると判断できること
- 技術検討等を通じて、実現可能性の高い開発システムの基本案が提示され、かつ、将来の商業化が可能と示唆されるような経済性の評価や、商業化段階での環境面の検討のベースとなる影響評価手法案等が提示されていること
将来の商業化に向けて、より長期間の生産挙動を把握していくとともに、第 1 回海洋産出試験で明らかとなったいくつかの技術課題に対する解決策の検証を行うため、第2回海洋産出試験(2015年度から2018年度:準備・事前掘削・ガス生産実験・廃坑作業を順に実施)を開始しています。
作業期間 |
2016年(平成28年)5月12日~6月13日 |
作業地点 |
第二渥美海丘(渥美半島~志摩半島沖) |
掘削坑井 |
事前調査井(1坑)、モニタリング井(2坑)、生産井(2坑) |
事業主 |
経済産業省 |
関係者 |
事業主体:(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)
オペレーター:日本メタンハイドレート調査(株)(JMH) |
使用船舶 |
地球深部探査船「ちきゅう」 |
作業期間 |
2017 年(平成29 年)4 月7 日~7 月7 日(ガス生産実験) |
作業地点 |
渥美半島~志摩半島沖(第二渥美海丘) |
事業主 |
経済産業省 |
関係者 |
JOGMEC(実施主体)、JMH(オペレータ) |
使用船舶 |
地球深部探査船「ちきゅう」 |
ガス生産量(暫定値) |
1本目の生産坑井:12日間で合計約3.5万立方メートル
2本目の生産坑井:24日間で合計20万立方メートル |
第2回海洋産出試験の様子(出典:メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム)