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旧鉱山の町から鉱業の未来を創り出す

旧鉱山の町から鉱業の未来を創り出す
金属資源技術研究所 所長 小島 和浩の写真

JOGMECのさまざまな業務を支えるメンバーにスポットを当てる本連載。
6回目となる今回は、金属資源技術研究所所長、小島和浩を取り上げます。

"東洋一の鉱山”として栄えた小坂で3つの技術の研究を進める

 秋田県北部に位置する小坂町。かつて東洋一と称された鉱山のふもとで、その恩恵を受けて栄えてきました。周辺で採掘された鉱石は黒鉱と呼ばれ、その名の通り黒い鉱石。有用金属を取り出す製錬が難しい黒鉱から銅を生産していたことを考えると、当時の技術力の高さがうかがえます。
 現在、鉱山はすべて閉山していますが、その名残は随所に見ることができます。たとえば現在の小坂の主要産業のひとつ、金属のリサイクル。これは長い鉱業の歴史で培った技術や設備を応用しています。また物資輸送用に敷設された鉄道や、鉱山で働く人の娯楽として建てられた芝居小屋を観光に利用するなど、過去から引き継いできたものを現代のニーズに合わせて活用するまちづくりが行われています。
 こうした「過去からの資産を活用する」という意味では、ここ金属資源技術研究所も同様です。周辺に民間の鉱業拠点や研究機関、黒鉱鉱床があることから、1995年にこの地に建てられました。地元の民間企業と連携が可能で、テストの実施やサンプル採取が比較的しやすいという立地を活かし、現在の鉱業が抱える課題解決に向け3つの技術を開発しています。旧鉱山の町、小坂発の技術が、鉱業の未来を支えるものと期待しています。

技術の研究を通して目指す3つの未来

微生物の力を使うことで坑廃水処理コストを大幅に削減

近隣の鉱山から出る坑廃水を使って研究が行われている

近隣の鉱山から出る坑廃水を使って研究が行われている

 多くの鉱山が抱える課題のひとつが坑廃水の処理です。有害物質などを含む坑廃水には、適切な処理が必要ですが、それには莫大な費用をかけ続けなければいけません。こうした課題に対し、自然環境に存在する微生物を活用することで処理コストの大幅な削減に寄与できる「パッシブトリートメント」という処理技術を研究中です。実用化できれば、多くの鉱山が抱える課題を緩和できるでしょう。

回収効率を向上させて低品位鉱石を宝の山に

際に銅鉱石を使って研究が進められる

際に銅鉱石を使って研究が進められる

 生産コストと回収できる金属量のバランスがとれず、利用されていなかった低品位の一次硫化銅鉱。銅回収効率を上げ、経済性を保てれば銅資源確保に貢献できるかもしれません。回収効率を向上させる技術に微生物を使うバイオリーチング技術がありますが、一次硫化銅鉱では実用化されていません。我々が研究を進める「一次硫化銅鉱のバイオリーチング」技術を、世界に先駆けて実用化させたいと思います。

選鉱技術の研究開発により難処理鉱石を有効活用へ!

新の分析装置で鉱石の組成をチェック

新の分析装置で鉱石の組成をチェック

 鉱石から目的の鉱物を分離する選鉱では、鉱石に含まれる鉱物の組み合わせによって作業や工程、難易度が大きく変わり、選鉱コスト、処理の可否も変わってきます。また、今後、鉱床の低品位化・複雑化や鉱石に含まれる有害物質の増加により、従来の選鉱技術では対応ができない難処理鉱石が増える可能性もあります。そこで選鉱技術を日夜研究し、そうした難処理鉱石でもきちんと選鉱できるよう備えています。

技術の実用化に向けて必要なことは?

自らの役割を果たしながら「やりたいこと」をすること

 研究所のミッションは、新技術の実用化です。道のりは長く、壁にぶつかることもあると思います。大事なのはそうしたとき、解決に向け自分が「やりたい」と思う手段を考え、実行することです。簡単なようでとても難しいことだと思いますが、ここにいるのは優秀な人たちばかりです。必ずや鉱業の未来を照らす技術を、実用化に結びつけてくれると期待しています。

研究所には若いメンバーも多い。地元だけでなく、日本中から優秀な研究員が集まり、来る実用化に向けて研究が進む

研究所には若いメンバーも多い。地元だけでなく、日本中から優秀な研究員が集まり、来る実用化に向けて研究が進む

JOGMEC NEWS Vol.50の表紙
内容は2017年9月時点のものになります。
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