JOGMECホーム > 資源情報館 > 金属に関するQ&A

資源おすすめライブラリ




金属に関するQ&A

レアメタルや非鉄金属に関する疑問や豆知識、わたし達の地球を守るための大切な環境対策に関する情報や質問にお答えします。

Q1. 国民生活に欠かせない非鉄金属って何ですか?
Q2. レアメタルって何ですか?
Q3. 非鉄金属の生産から消費まで?
Q4. 非鉄金属の価格はどのくらい?
Q5. 非鉄金属の安定供給ってどういうこと?
Q6. 金属の値段、高い?安い?
Q7. 鉱床ができた時代はいつ?
Q8. 鉱床の成り立ちは?
Q9. 鉱山開発の評価はどのように進めるの?
Q10. 採鉱・選鉱の技術はどうなっているの?
Q11. 製錬とは何ですか?
Q12. 坑廃水処理って何?
Q13. 環境保全施策ってどんなこと?
Q14. 亜硫酸ガスの回収ってどんなふうにするの?
Q1. 国民生活に欠かせない非鉄金属って何ですか?
現代社会は様々な素材に支えられています。とりわけ銅、鉛、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどの非鉄金属が重要になっています。
非鉄金属の中で銅、鉛、亜鉛等のベースメタルと呼ばれる金属については、従来から、電線、伸銅等のほかメッキ用、合金用等の素材として利用が知られています。他方、近年はレアメタル(希少金属)がその素材の持つ機能的役割からエレクトロニクス、原子力、航空、宇宙等の先端産業の分野、国民生活の様々な分野で重要な役割を果たしています。
新幹線および乗用車に使われている非鉄金属(重量比)
新幹線および乗用車に使われている非鉄金属(重量比)
◎このような非鉄金属は、今や人間生活の様々なところで使われ、なくてはならないものとなっております。
銅・鉛・亜鉛の特性とそれらの用途
銅の特性 鉛の特性 亜鉛の特性
1. 電気伝導性が良い
(電線・半導体)
2. 熱伝導性が良い
(自動車のラジエーター)
3. 殺菌性がある
(医療器具・硬貨)
1. 耐酸性が強い
(バッテリー)
2. 融点が低い
(ヒューズ)
1. 錆の防止
(亜鉛鉄板(亜鉛メッキ))
銅の特性 鉛の特性 亜鉛の特性
Q2. レアメタルって何ですか?
レアメタル(希少金属)とは、地球上にもともとの存在量が少ない金属や、量 は多くても経済的・技術的に純粋なものを取り出すのが難しい金属を総称するもので、他の元素と合金を作って、これまでにない性能や機能を持つようにできることに特徴があります。
レアメタルはこのような特性を利用して、家庭用品から産業機械・ハイテク分野に至るまで幅広く用いられており、我が国の産業にとって欠くことのできない重要な原材料の一つになっています。
レアメタルを用いた製品
レアメタルは「産業のビタミン」です。
永久磁石 ヘッドフォン コンパクトディスク 半導体
永久磁石 ヘッドフォン コンパクトディスク 半導体
液晶テレビの透明電極 カメラレンズの研磨 ビデオテープ
液晶テレビの透明電極
レアメタルが使われており、カラーテレビには欠かせません。
カメラレンズの研磨
レアアースが使われているほか、オートフォーカスにレアメタルを使った強力な磁石が使われています。
ビデオテープ
レアメタルが使われています。
パソコン 自動車
パソコン
レアメタルを使った電池によって、長時間の使用が可能になりました。
自動車
排気ガスを取り除くためにレアメタルが使われているほか、数多くのレアメタルが使われています。
Q3. 非鉄金属の生産から消費まで?
例えば銅の場合
銅は銅鉱石として鉱山で採掘された後、選鉱場で銅の入っている鉱物とそうでないものにより分けられ、製錬所においてイオウなどの不純物が取り除かれ、純度の高い地金に加工されます。そして、銅地金は、主に電線として電信・電話線や電気製品、自動車などの部品としてさらに加工され、日常生活で使われています。

[解説]
(1)生産
銅の生産は、「鉱山」で銅鉱石を採掘することから始まる。鉱石は、細かくくだかれた後、水と混ぜ油、薬品類を加えてかき回して泡立たせ、泡の表面 に銅鉱物を付着させる方法(浮遊選鉱)などで、純度20〜40%の「銅精鉱」と呼はれるパウダ一状態の原料にされます。
次に「製錬所」に送られ、精鉱中に含まれる銅以外の金属類や不用物(イオウ)などを取り除くため熔鉱炉で溶解され転炉で銅金属にされます。この工程を熔錬(スメルティング)と呼び、純度97〜99.5%の粗銅(ブリスター)が出来上がります。この過程で発生する亜硫酸ガス(S0x)は大気公害防止のためにも回収され、硫酸として工業原料に利用されます。
粗銅中にはまだ酸素、金、銀などが含まれているので、電気分解を行い純度99.99%の銅地金にされています。この方式が現在世界で最も多く用いられている方法で、「乾式製錬法」と呼はれている。
また近年、乾式製錬法では処理し難い酸化鉱を、直接硫酸等により溶解させ、電気分解により回収する方法(リーチング、SX-EW法)により、低コストで銅地金を供給する技術が既に実用化されています。これを「湿式製錬法」と呼んでいます。

(2)消費
生産された銅地金は加工工場へと送られ、電線として電気機器、電動機、送電線、電話線等に使用されている他、銅や銅の合金を板、管、棒にした伸銅品は配電機器、電動機、電気器具、自動車エンジン部品や台所用品、貨幣などにも広く利用されている。

非鉄金属の生産から消費まで
Q4. 非鉄金属の価格はどのくらい?
非鉄金属の個々の取引の価格は、ロンドンにある非鉄金属専門の商品取引所(London Metal Exchange)(http://www.lme.co.uk/)で取引され形成されるLME価格を基本として、設定されるのが一般的である。このLME価格は、市場の需給を反映したものとして、重要な指標として機能していますが、著しく乱高下することがあります。LMEの他にも、ニューヨークにあるCOMEXも金、銀については国際的な指標として使われています。

1.LME(London Metal Exchange)について
国際的に重要な価格指標、英国ロンドンにある非鉄金属専門の商品取引所であるLMEにおける取引価格が国際的な価格指標になっています。企業間の取引における価格は、このLME価格を基本として、各国、各地域における輸送コスト、支払条件等を考慮して、LME価格+αとして当事者同士で設定され、取引が行われることになります。

2.LMEの生立ち
LMEは、1877年に設立されたもので、海外に船積みした鉱石が英国に入着するまでの相場の変動リスクを負担しあう(リスクヘッジ)ため、将来の一定の時期に商品を受け渡すとの条件で売買契約する先物取引を行うことが目的でした。その後、国際的な信頼を獲得して、国際的な金属取引の中心となり、LME価格が広く用いられるものとなりました。

3.LMEの取引の方法
現在、LMEでは、銅、鉛、亜鉛、アルミニウム、アルミニウム2次合金、二ッケル、スズの7品目の取引が行われており、1日午前2回、午後2回、各金属毎に5分間の取引が行われ、特に、午前の2回目の取引結果が公式価格として、13:10頃に発表され、国際的な取引指標となります。取引は、LMEの本会員17社が「リング」と呼はれる円形の取引場に集まって取引が行われ、このリングメンバーは、世界各地からの取引注文をこの場に提示することになります。
なお、LMEの取引時間外の取引も、LMEの取引とみなされ、オフリング取引と呼ばれ、ニユーヨーク時間では、ニユーヨークカーブ、東京時間では、東京カーブと呼ばれている。これは、かつて、LMEの取引終了後、建物の外の縁石(カーブ)でデイーラー同士が取引したことにちなむものです。
LME価格は、市場の需給を公正に反映したものとして、非鉄金属取引の価格決定に重要な指標となっている反面、下図が示すようにLMI価格は、鉱山・製錬所における事故・ストライキ等による生産障害、短期的な需給のくいちがいによる価格の乱高下が発生することがあります。
Q5. 非鉄金属の安定供給ってどういうこと?
1.非鉄金属の安定供給を妨げる要因
既に述べたように我が国は、必要とする金属資源のほとんどを海外に頼っています。このため、海外鉱山でストライキが発生したり、政情不安な国で内乱が発生すると必要な資源が手に入らなくなったり、金属価格が暴騰して経済的な影響が生じる可能性があります。
また、海外の多くの鉱山が限られた海外の企業(「非鉄メジャー」とよばれる)に所有されており、徐々にその割合が高まり、非鉄金属の供給に大きな影響力をもっています。このため、我が国としては、海外の情報の収集、分析に今後とも努めていく必要があります。

(1)これまでの海外産出国における供給支障
我が国に銅を輸出している国における供給支障の発生頻度
我が国に銅を輸出している国における供給支障の発生頻度
(1984〜1993年)
(注)支障期間=(生産低下量/我が国への各国の輸出量 )×生産低下期間
(2)非鉄メジャーの影響力
非鉄メジャーと呼ばれる海外の大企業は、わずか10社で全世界の銅生産の6割近くを占めており、近年企業買収を通じ、その支配割合が上昇傾向にあります。

2.非鉄金属資源の供給障害と我が国への影響
産出国における自然災害、ストライキ等で我が国の必要とする量が不足することになるとしたらどのようなことになるでしょうか?
海外鉱山での供給障害の発生頻度は少なくありません。大規模な供給障害が発生した場合、非鉄金属を使って製品を作っている多くの産業の生産の低下を始めとして、プラント、産業機械等の生産材、自動車、家電等の消費材の価格の上昇など、国民生活に広く影響を与えることが懸念されます。非鉄資源の海外依存の高まりから、今後より一層、海外での予測できない出来事から我が国経済を守る取り組みが必要です。
過去に於いて、ニッケル、クロムなど非鉄金属資源の供給障害が、価格上昇や受給逼迫、通 常の生産活動に支障をきたす程の在庫水準の低下など、わが国経済にも重大な悪影響を及ぼす可能性が指摘される事態にまで到った実例はたくさんあります(下表参照)。
また、資源は新たな発見や、そのための不断な探査努カ、新鉱山開発が行われなければ膨張を続ける世界需要を満たすことが出来ず、いずれ枯渇する運命にあります。
このため、これまで国内外での探鉱促進策や発展途上国への調査技術協力の推進、新しい探査手法や金属抽出技術の開発、備蓄制度など、安定的な供給を維持するための適切な資源政策を展開することにより、国民生活と産業活動への悪影響を最小限に止めてきました。
しかし未だ安定的な受給関係を阻害する要因として、鉱山に於ける自然災害やストライキの発生、供給の寡占化、輸出規制、資源国に於ける地域紛争、特定地域・特定鉱種の急激な需要の伸び等が依然として存在しており、豊かな国民生活と活力ある企業活動を維持するため、さらに積極的な取り組みが必要となっています。

(1)これまでの海外産出国における供給支障
過去のレアメタル供給障害の実例
鉱種 過去の供給障害例
ニッケル
  • ニューカレドニアにおいて豪雨・洪水により採鉱・出荷設備の被害のため、出荷遅延。(1967年)
  • 大手企業のストライキにより出荷停止。
    ファルコンブリッジ社(加)1979年
    インコ社(加)1969年(5ヶ月間)、1978〜1979年(9ヶ月間)
  • ドミニカ国における輪出税問題による出荷遅延。(88年1月から約4か月間)
  • インドネシアのソロアコ鉱山における事故。(88年3、12月)
クロム
  • ローデシアに対する経済制裁の対抗措置として南アフリカが輪出を一時停止
  • ソ連の高品位鉱の輪出停止。(1978年)
タングステン
  • ソ連の大量買い付け。(1976〜1977年)
  • 国際投機筋による買い占め、売り借しみの頻発。
コバルト
  • 1978〜1980年第二次シャバ紛争
    (ザイール)(1年余)
  • 1975年第一次シャバ紛争(ザイール)。(3ヶ月)
  • 1975年アンゴラ内戦によるロビト港輪送ルート閉鎖。(ザイール、1975年8月〜)
モリブデン
  • カナダ・エンダコ鉱山の長期ストライキ。(1979〜1980年、11ヶ月)
マンガン
  • ソ連の輪出停止。(1979)
  • オーストラリア企業(BHP社)のストライキ。
  • インド高品位鉱の輪出停止。(1973年〜)
バナジウム
  • ハイベルト社(南ア)、UCC社(米)のフェロバナジウムの減産強化。(1980〜1981)
3.資源の安定供給確保のための施策
金属資源は、我が国経済社会の発展及び国民生活の向上に不可欠なものであり、金属資源の安定供給の確保を図ることが極めて重要な政策課題になっています。
このため、国内外の探鉱促進のための施策やレアメタルの備蓄などが進められています。

(1)国内探鉱の促進
  • 地質構造調査
    金属鉱床が存在する可能性が高い地域において地質調査、物理化学探査やボーリングなどを行っています。

  • 国内探鉱の融資
    探鉱は極めてリスクの高いものであることから、探鉱に必要な資金の貸付をJOGMECが行っています。

  • 国内探鉱の経営安定化策
    資源の最も安定した供給源である国内鉱山経営の安定化を図るため、鉱山会社に対し低利の融資を行っています。

(2)海外探鉱の促進
  • 海外における地質構造調査
    JOGMECが海外において地質構造調査を実施しています。また、外国企業と共同して我が国企業が実施する地質構造調査に対する助成がなされています。

  • 共同資源開発基礎調査
    我が国の金属資源の安定供給を図るともに、開発途上国の経済発展に資するための資源開発調査を実施しています。
(3)レアメタルの備蓄
  • レアメタルは我が国の産業活動や国民生活に必須の資源です。しかしながらレアメタルの供給構造は極めて脆弱なものとなっていることから、我が国ではレアメタルの備蓄を行っています。
(4)技術開発の推進
  • 探査技術の開発
    近年の探鉱活動は、対象地域が奥地化・深部化しており、極めてリスクが高いものとなっています。このため効率的で信頼度の高い探査方法の確立を目指した技術開発などが進められています。

  • リサイクル技術
    銅、鉛、亜鉛等を含む鉱石の可採年数は数十年とされています。そのため、廃棄物から金属をリサイクルする技術を向上させる施策を進めています。
(5)新資源の開発
  • 深海底資源は、ニッケル、コバルト等のレアメタルを陸上資源の2〜3倍の品位 で豊富に含む「マンガン団塊」に代表されるように、将来の資源として期待を集めています。他にも海底熱水鉱床やコバルトリッチクラストがあります。これらの資源について地質調査船を使用して探査を実施しています。
Q6. 金属の値段、高い?安い?
生活に重要な銅、鉛、亜鉛などの金属(ベースメタルと呼ぶ)は、重さで比べると意外なことに野菜と同じか安い値段であることが多いのです。しかし、金や銀などの貴金属は非常に高い価格になります。人工衛星やジェット戦闘機の値段も重さで換算すると金と同じくらいの値段になります。まさに空飛ぶ金塊といえます。
金属価格比較マップ
金属価格比較マップ
Q7. 鉱床ができた時代はいつ?
いったい、金属鉱床はいつの時代に生成されたのでしようか。
地球の誕生は46億年前、最古の岩石はグリーンランド・イスアに見つかった38億年前の片麻岩です。また、最古の生命はオ一ストラリア・ノースボールに痕跡の残る35億年前のストロマトライト(らん藻類の集合体)です。
では、最古の金属鉱床は?・・・。本格的な鉱床生成は、27〜22億年前の堆積性ウラン鉱床、22〜19億年前の堆積性鉄鉱床からといわれています。鉱床の生成は何億年もの太古の昔から、現世の温泉沈殿物に濃集する金(恐山など)まで続いています。わが国を代表する鉱床の例では、世界有数の金品位を有する鹿児島県菱刈鉱床(金、銀)は100〜50万年くらい前、北海道豊羽鉱床(亜鉛、鉛、銀、金、インジウム)は300〜50万年前、岐阜県神岡鉱床(亜鉛、鉛、銀)は、6,500万年前程度とされています。
過去、いつの時代も一様に鉱床が生成されたのではなく、例えば10〜5億年の間は大鉱床が見られないが、それ以降現世にかけては活発な鉱床生成が行われたなど、ある時代に集中しているようです。金属鉱床の生成は、地球の壮大な生い立ちとともにあるのです。
金属鉱床の生成時代
地質時代 主な鉱床の生成時期
亜鉛・鉛 その他
原生時代 45億年前          
40億年前          
35億年前          
30億年前          
25億年前 ●●
20億年前    
15億年前   ●●  
10億年前   ●●     
5.75億年前          
古生代 5億年前          
4億年前     ●●    
3億年前      
2.45億年前      
中生代 2億年前      
1億年前      
0.65億年前        
新生代     ●● ●●  
Q8. 鉱床の成り立ちは?
金属鉱床の成因その1
−金属を地球深部からもたらす“マグマ”−
鉱床の成因には、マグマの活動が深く関与しています。マグマとは、650〜1300℃の高温で岩石かドロドロに溶けた溶融体(液体状のもの)ですが、大陸移動説で有名なブレートテクトニクスによるプレートと呼ばれる厚い地層どうしの摩擦が原因で生成すると考えられています。地震もこのプレートが歪んで(変形して)それが元の形に戻ろうとして反発し揺れが起こるものとテレビなどで地震学者が解説するのを聞いたことがある方も多いと思います。
マグマは、マントル(地下300km〜2880kmの範囲)や地殻(地下300km以浅)よりも比重が小さいため浮力を生じ、それらに含まれる諸々の鉱物と反応しながら上昇していきます。そして次第に温度の低下などにより浮力を減少させ、ある深さで滞留します。これを”マグマ溜り”と呼びます。そこから圧力に耐えかねて地表にマグマか吹き出した(噴火)とき、それが火山です。

金属鉱床の成因その2
−マグマ上部に分離した熱水からの金属の沈澱−
火山の活発な噴火活動が終わったあたりから、地下深部のマグマ溜りでは次第に鉱物が結晶化し、岩石となっていきます。そのとき、マグマ中の熱水は、鉱物から押し出されて上部に集まっていきます。その熱水は、様々な金属元素を溶かし込んでいます。熱水は、概してpHが低く(酸性)、高温、高圧の状態にあります。
熱水は、その高い圧力によりその上部の岩盤中に無数のひび割れを造るとともにその中に浸み込むと、圧力と温度が一気に低下し、金属は硫黄などと結びついた金属鉱物となり、ひび割れの中に沈澱していきます。

金属鉱床の成因その3
−熱水から金属が沈澱するわけ−
地下深くマグマ溜りから上昇してきた金属を溶かし込んだ熱水が、地下のある所で金属を沈澱させるきっかけとして次の要因が挙げられます。
中和反応 pHの上昇。金属は酸性水に溶け易く、
中性水に溶けにくい
沸騰現象 圧力の急減
天水との接触、混合 温度の低下
これらがある条件下で金属を溶かし込んだ熱水に作用し、金属の沈澱を発生させ鉱床が生成していきます。また、繰り返しての反応により金属元素の濃集が起こる、つまり鉱床か徐々に成長するものと考えらています。鉱床の生成に水はなくてはならないものです。これは生命と共通することです。水とは天水(雨、雪など)、海水およびマグマ水のことで、それらが地層の割れ目やひび割れを伝って浸透し、地下深部で熱せられて上昇し、あるものは地表に吹き出し(温泉)、あるものは地表近くで冷えてまた地下に潜り、対流のような大きな循環系を造る。その過程で金属を溶かし込んだり、沈澱させたりする水は、自然界の物質の運び屋なのです。
Q9. 鉱山開発の評価はどのように進めるの?
鉱山開発は他の産業に比ベ、
1 操業開始までの期間が長い
2 道路、住宅、電力確保など周辺施設整備に
要する資金の比重が高い
3 投資のリスクが高い
などの特徴を持っていますので、こうした点を前提として評価を進めています。
評価の手順は
1 的確な情報収集と事前調査により投資環境の見極め
2 地質調査などで得られたデータを解析、
検討して埋蔵鉱量を推定
3 フィージビリティー・スタディ
(採鉱法を仮定して採掘可能鉱量を推定、鉱石の選鉱試験、
鉱害対策の検討、経済性の評価)の実施
4 資金調達・法人の設立、認可手続き
5 開発のための資機材調達、現地搬入
6 プラント建設、人員確保
7 試運転、教育訓練
のように進められます。
[解説]通常、鉱床は居住地区がら遠く、地下深く存在するので、発見から開発までに要する期間は3〜8年間位必要です。このため投資額に対する金利は他産業に比べて高くなります。また地質調査、探鉱に要した経費は期待した鉱量、品位が確保できず開発に移れない場合には、回収不能となります。鉱山の立地は他の産業のように自由に選択出来ず、用水確保のダム建設、発電設備、住居、学校、病院、道路、鉄道、港湾施設などの新たな建設が必要となるケースが多く、また他の産業に比べ需要の変動に対して生産に弾力性がないため、価格の変動も大きなものとなります。以上のように鉱山開発への投資はリスクが大きく、莫大な資金を有するため、代償としてより大きな報酬が求められます。
Q10. 採鉱・選鉱の技術はどうなっているの?
鉱山において行われる生産活動は大きく分けて採鉱と選鉱に分けられます。
採鉱とは地中から鉱石を掘り出して地上に持ってくるまでの作業です。その作業量は膨大であり、かつ地中において行われることから危険を伴う作業でもあります。従って、この作業を経済的かつ安全に行うために、鉱床のタイプ、規模、深度、品位等によって、色々な採鉱技術が開発されています。採鉱技術は大きく分けて地表から浅い鉱床に適した露天採鉱法と深い鉱床に適した坑内採鉱法とに分けらますが、鉱山毎の条件に合わせて、さらに細かく分類されます。
選鉱とは掘り出された鉱石から不純物を分離する作業です。掘り出されたばかりの非鉄金属鉱石の品位は一般的に数パーセント程度であり、このまま運搬することは極め不経済です。また、不純物が多くては製錬を行うことも困難です。このため、物理的特性や化学的特性を利用した色々な選鉱技術が開発されています。
Q11. 製錬とは何ですか?
銅、鉛、亜鉛等の金属を得るためにはこれらの金属を含む鉱石から目的の金属と他成分(不純物)とに分離しなければなりません。鉱石から目的の金属を取り出すことを製錬といいます。製錬には乾式製錬と湿式製錬とがあり、前者は炉の中で鉱石を熔融することによって目的の金属を得る方法であり、後者は酸やアルカリ等の薬品を用いて鉱石を溶解することによって目的の金属を得る方法です。

例えば銅の場合
乾式製錬
乾式製錬は主に硫化銅鉱の処理に用いられます。鉱石は現在主に銅品位か約30%位に高められた微粉(精鉱)を海外から輸入したものを用いています。この精鉱を熔鉱炉の中で熔融すると、比重の差で銅分の多いマットと酸化鉄、珪酸を主成分とするスラグとに分かれます。マットはさらに転炉、精製炉で酸素を取り除く処理をして精製粗銅(銅品位 99.5%)とします。この精製粗銅を陽極型(アノード)に鋳込んで電解工程に送る陽極にし、これを電気分解して電気銅(銅品位 99.99%)にしたものを地金として販売しています。副産物として生じる貴金属や硫酸等も商品として販売しています。

湿式製錬(SX-EW法について)
SX-EW法とは銅鉱石から銅を硫酸で溶かし出し、その溶液から銅を有機溶媒で取りだした後、電気分解により電気銅(銅品位 99.99%)を得る方法をいいます。これまで乾式製錬の対象にならなかった低品位酸化銅鉱の処理に用いられます。乾式法に比べ大量かつ安価に製錬ができます。
(参考)乾式製錬には主に自熔炉法とMI法がありますが、自熔炉法がバーナーを通して精鉱が炉に送り込まれるのに対して、MI法は精鉱が酸素富化空気(酸素濃度40〜50%)とともにランスと呼ばれる管を通して炉に送り込まれること、自熔炉法の各工程が取鍋によって移送されるのに対し、MI法は熔鉱炉からアノード鋳造機までが樋でつながっていて連続的に銅精鉱が処理できるという違いがあります。

我が国の製錬所
製錬所では、海外、国内で生産された鉱石から、銅、鉛、亜鉛の品位が99.99%以上の地金を生産しているほか、硫酸、金、銀等の副産物も生産しています。
我が国には、8つの銅製錬所、6つの鉛製錬所、8つの亜鉛製錬所が生産活動を行っています。その供給能力は国内で使用される量をカバーできていませんが、世界的に見ても大きな生産力を有しています。
製錬方法は、銅、鉛が鉱石を熱で溶かして金属を取り出す乾式製錬の技術です。亜鉛については乾式製錬のほか硫酸で鉱石から金属を溶かしだす湿式製錬の技術が取り入れられています。
日本の製錬所は、常時保有している在庫で1〜2ケ月の供給障害に対応することができ、非鉄金属の安定供給に貢献しているほか、公害問題を解決してきた高い技術力で、現在問題となっている廃棄物の処理、無害化等環境問題にも貢献しています。
日本の製錬所
  企業名 製錬所名 所在地 製錬能力
(t/年)
日鉱金属(株) 日 立 茨城県 182,400
日鉱金属(株) 佐賀関 大分県 270,000
三菱マテリアル(株) 直 島 香川県 225,600
住友金属鉱山(株) 別 子 愛媛県 270,000
小坂製錬(株) 小 坂 秋田県 72,000
小名浜製錬(株) 小名浜 福島県 258,000
日比共同製錬(株) 玉 野 岡山県 218,400
計(電解製錬) 1,496,400
東邦亜鉛(株) 契 島 広島県 120,000
三井金属鉱業(株) 竹 原 広島県 43,800
小坂製錬(株) 小 坂 秋田県 25,200
住友金属鉱山(株) 播 磨 兵庫県 30,000
219,000
亜鉛 神岡鉱業(株) 神 岡 岐阜県 72,000
彦島製錬(株) 彦 島 山口県 84,000
東邦亜鉛(株) 安 中 群馬県 139,200
八戸製錬(株) 八 戸 青森県 117,600
住友金属鉱山(株) 播 磨 兵庫県 90,000
秋田製錬(株) 飯 島 秋田県 200,400
703,200
Q12. 坑廃水処理って何?
自然の恵みを地下から採取する鉱山開発は、環境保全技術に十分配慮して行われております。しかし、鉱山では一般 産業と異なり、閉山後も坑内や堆積場から時には酸性が強く重金属を含む坑廃水が排出されることがあり、河川の水質汚濁や農業用地の土壌汚染を惹起するという鉱山特有の問題があります。そのため、鉱山では、坑廃水の処理が最も重要な課題といえます。
岩手県八幡平に位置する旧松尾鉱山の坑廃水の流出は、かつて東北第一の河川と言われる北上川を赤濁させていましたが、坑廃水処理施設の完成・運転によって、北上川は、その清流を取り戻し、魚が住み鳥遊ぶ母なる川として蘇りました。

松尾鉱山稼行当時の北上川と松川の合流点 現在の北上川と松川の合流点
松尾鉱山稼行当時の北上川と松川の合流点 現在の北上川と松川の合流点
Q13. 環境保全施策ってどんなこと?
我が国における鉱害防止対策は、汚染者負担の原則に則り、鉱山保安法上の義務を有する鉱業権者等(鉱害防止義務者)によって鉱害防止事業(発生源対策及び坑廃水処理対策)が行われますが、会社の倒産等により鉱害防止義務者が存在しない休廃止鉱山については、地方公共団体が国の財政的支援(休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金制度)を受けて、鉱害防止対策を図ることとなっています。
JOGMECは、各地方公共団体が実施する鉱害防止事業に関し、その依頼に基づき国からの補助により、現地調査を実施し、鉱害防止工事の設計等に必要となる資料の提供や実施計画の策定に必要な技術指導を行っています。
また、地方公共団体から委託を受けて、鉱害防止工事に係る調査設計・工事管理を行い、一層の鉱害防止事業の推進を図っています。さらに、鉱業権者等に対し、鉱害防止事業に係る費用負担を軽減するため、所要資金の貸付業務を行っています。なお、鉱業権者等による坑廃水処理対策については、恒久的な坑廃水処理費用を確保するため、鉱害防止事業基金制度を創設しています。
鉱害防止対策の現状
事業の内容 事業の実施者 対策の現状
◆発生源対策
・坑ロ閉そく工事
・たい積場の
覆土植栽工事等
休廃止鉱山 地方公共団体
(*1)
休廃止鉱山鉱害防止等
工事費
補助金制度(*2)
鉱業権者 JOGMEC融資制度
稼行鉱山 鉱業権者 鉱害防止積立金制度
◆坑廃水処理対策
・坑廃水の中和処理
休廃止鉱山 地方公共団体
(*1)
休廃止鉱山鉱害防止等
工事費
補助金制度(*2)
鉱業権者 ●自己汚染分
JOGMEC融資制度
鉱害防止事業基金制度
●自然・他者汚染分
休廃止鉱山鉱害防止等
工事費
補助金制度(*2)
稼行鉱山 鉱業権者 鉱害防止積立金制度
(備考)
(*1)は、鉱害防止義務者が存在しない鉱山の事業の実施者。
(*2)は、国が事業費の3/4補助、地方自治体が事業費の1/4負担。
Q14. 亜硫酸ガスの回収ってどんなふうにするの?
日本の製錬所は、世界一厳しい環境規制制度の中で、世界最高水準の技術を結集し、高い生産性と無公害を実現しています。日本に輸入される銅・鉛・亜鉛の約70%は、鉱石の形態で輸入され、製錬所で地金に加工されます。昭和40年代、製錬所からの亜硫酸ガスによる大気汚染が社会間題となりましたが、環境配慮の見直しが行われ、現在では、この亜硫酸ガスを利用して硫酸や石膏などの生産を行っています。

硫酸工場
鉱石を熔融する時発生する高濃度(約8〜11%)の亜硫酸ガス(S02)は、硫酸製造の原料として利用します。1994年、日本の硫酸生産量は、660万tですが、この内、製錬所で生産した硫酸は約60%の400万tで、残りは製油所等で生産されています。

排煙脱硫工場
硫酸製造に適さない低濃度のS02ガスは、石膏(CaS04)製造の原料として回収されます。また、硫酸工場の排ガスや製錬所の漏洩ガスなどが回収され、石膏製造に利用されています。1994年、日本の石膏生産量は、505万tですが、排脱石膏は約45%の約225万tとなっています。
石油・天然ガス情報
  • 日本の石油天然ガス資源事情
  • 価格推移
  • Q&A
  • 用語辞典(石油・天然ガス資源情報)
  • 資源開発の流れ (石油・天然ガス)
  • 石油の生い立ちを知ろう!

金属情報
  • 日本の金属資源事情
  • Q&A
  • 金属の生い立ちを知ろう!
さらに詳しい情報はこちら
金属資源にかかわる定期的な情報発信を行っています。各種検索機能により、金属資源に関するデーターベースとしてもご利用頂けます。