資源備蓄

国際協力

世界の石油需要見通し

世界の石油需要は、経済協力開発機構(OECD)加盟国では省エネルギーの発展などにより需要は減少する傾向ですが、中国、インド及び東南アジア諸国等の非OECD諸国では需要の増加が見込まれていることから、全体では2035年に向けて増加していく見通しです。そのため、エネルギー資源に占める石油の重要性は今後も変わらないと考えられます。
その石油の供給源の多くは政情の不安定な中東諸国などに依存しており、将来、石油供給の減少あるいは途絶が起こる可能性が高いと想定されています。
このため、欧米諸国や日本、韓国などの世界主要消費国では、石油の緊急時用備蓄が広く実施されています。また、その他のアジア諸国でも備蓄の整備や検討が行われています。さらに石油が国際商品であることから、供給途絶時などの緊急時対応を効果的に実施するためには、各国が単独で行動するのではなく、主要な石油消費国による協調行動を行うことが重要であると考えられています。

一次エネルギー需要 一次エネルギー需要予測
円グラフ

IEAとの協調

(1)IEAとは

IEA (International Energy Agency:国際エネルギー機関)は、第一次オイルショック後の1974年当時、日本を含む主要石油消費国によってOECD(経済協力開発機構)の外局機関として設立されました。

設立目的は、

  • 加盟国における石油を中心としたエネルギーの安全保障の確立
  • 中長期的に安定的なエネルギーの需給構造の確立

などで、加盟国は2015年4月現在で29ヶ国に増えました(IEAへの加盟条件は下表参照)。現在も年に数回、定期的に理事会・常設部会を開催しており、石油供給途絶などの緊急時対応策や省エネルギー対策の検討など、エネルギー全般の安全保障のためのさまざまな課題について活動を行っています。

また、IEAは加盟国に対し、石油純輸入量の90日分以上の緊急時備蓄を維持するよう勧告しています。
石油供給のほとんどを外国に依存する我が国は、実際に石油供給が途絶した場合、IEAとの協調行動を取ることで我が国のみならず世界のエネルギーセキュリティに貢献することになります。

  • 国際エネルギー機関
  • IEA会議風景

    IEA会議風景

(2)日本にとってのIEAの意義

IEAでは1984 (昭和59) 年にCERM (Co-ordinated Emergency Response Measures :協調的緊急時対応措置)が合意され、石油供給の途絶等緊急事態が発生又は発生の恐れがある場合 には、加盟国が協調して備蓄の放出を行うことになりました。CERMでは、特に国際石油市場 の発達とともに、石油の供給途絶等緊急時の初期段階において市場のパニックを予防または沈静化することを目的としています。
これまでもIEAによる CERMが発動されており、IEAとそのシステムは日本のエネルギー安 全保障上、非常に重要な役割を果たしています。

日本にとってのIEAの意義

主なIEA各国の石油備蓄制度

国家備蓄制度

「緊急時対応のために政府資金により備蓄する方式」

政府の税収を原資として、政府が直接、あるいは備蓄機関を通じて備蓄基地及び備蓄石油を保有し、運営を行うシステム。


長所
  • 備蓄石油の放出を政府の判断に基づいて行う。
  • 原油調達市場への供給を確実に増加させることが可能。
  • 国の意思を貫徹させることを示すことができる点で市場に対する大きなアナウンスメント効果(公表による効果)が期待できる。

協会備蓄制度

「公的あるいは民間企業により設立されたAgencyによる備蓄方式」

法律に基づいて設置される公的な協会備蓄実施機関が中心となり、業者負担金により備蓄事業を推進するシステム。その法的な立場やシステムは、各国の市場構造や考え方の違いにより少しずつ異なっている。


長所
  • 精製業者や輸入業者から独立した備蓄組織を創設し、運営することにより、全義務業者を平等な立場に置くことができる。
  • 備蓄機関の中立性、経理の透明性、備蓄在庫の自己保有や監督を通じて備蓄を確立し、その継続の安全性を高めることができる。

民間備蓄制度

「民間会社が義務的に備蓄、あるいは流通在庫として備蓄する方式」

法律に基づいて備蓄義務を課された石油企業等の民間企業が、規定されたある一定水準以上の備蓄量を自らの施設と費用で保有するシステム。企業備蓄制度とも呼ばれる。


長所
  • 民間備蓄は、大部分が製油所や油槽所等の石油企業の生産・流通過程の中で保有されており、また原油についても個々の製油所の精製工程に適合した形で保有されていることから、速やかに流通経路に乗せることが可能。
  • より消費者に近い製品の形で、迅速な供給が可能という点で機動性に優れている。

※重なっているところは両方の備蓄制度を採用しています。

※重なっているところは両方の備蓄制度を採用しています。