JOGMECカーボンニュートラル・イニシアティブ 基本方針と具体的行動計画
JOGMECは、我が国の産業基盤の維持・強化、経済繁栄、国民生活の安寧のために、エネルギー資源や鉱物資源の安定的かつ低廉な供給の確保を最優先の使命としながら、資源開発に伴う環境リスク低減にも積極的に取り組んでいます。特に、世界共通の喫緊の課題である気候変動問題については、2021年4月にカーボンニュートラル推進本部を創設するとともにJOGMECカーボンニュートラル・イニシアティブを策定し、「クリーンな資源エネルギーへの取組強化」、「脱炭素燃料・技術への取組強化」及び「脱炭素に必要な制度整備への貢献」という3つの基本方針に基づき組織全体で取り組むとの方針を明確化しました。
気候変動問題や脱炭素化に関する動きが国際的に加速していく中、我が国の「2050年カーボンニュートラル」や2030年度の野心的な温室効果ガス排出削減目標の実現に向けたエネルギー政策の実行にJOGMECとしても貢献していきます。2021年10月に策定された第6次エネルギー基本計画を踏まえ、改正JOGMEC法(一部を除く)が施行されました。これによりJOGMECは、脱炭素燃料(水素・アンモニア・合成燃料等(以下、「水素等」という。))の製造・貯蔵及びCCSに対するリスクマネー支援業務並びに洋上風力発電のための風況・地質構造調査など、カーボンニュートラルの実現に向けて更なる機能を担っていくこととなりました。
また、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴って制定された「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」を踏まえ、2022年8月に改正JOGMEC法が施行されており、これによりJOGMECは、特定重要物資の安定的な供給のための助成等を新たに実施することが可能となりました。
JOGMECは、引き続き3つの基本方針に基づき、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて組織を挙げて取り組んでいきます。具体的には、法改正を踏まえた機能強化を反映した新たな行動計画(アクションプラン)に基づいて事業を実施し、これまで以上に取組を加速していきます。
足元では地政学的・地経学的な情勢の変化により資源エネルギーをとりまく状況は複雑化、不透明化していますが、今後もJOGMECは、変化するエネルギー情勢に柔軟に対応しながら、我が国の資源エネルギーの安定供給を通じて、未来の脱炭素社会における経済と環境の好循環の実現に貢献していきます。そして、社会の要請に応じて役割や機能を変化・変革させつつ、困難な課題の解決に向けて挑戦していきます。
将来のカーボンニュートラル社会を実現するためには、エネルギーの安定供給と経済合理性を確保しながらエネルギーの脱炭素化を進めていくことが必要であり、そのためには引き続き化石燃料が重要な役割を果たします。そのような認識の下、化石燃料の開発事業におけるCO2排出量の削減や、比較的CO2排出量の少ない液化天然ガスの開発の支援を強化します。同時に、再生可能エネルギーへの取組も強化します。具体的には、クリーンかつベースロード電源として有用な地熱資源の開発や、洋上風力発電の導入拡大に資する風況・地質構造調査を行います。そして、電動自動車や再生可能エネルギー発電設備等の普及を支える金属鉱物資源についても、カーボンニュートラル実現に不可欠な要素として捉え、安定供給に向け取り組んでいきます。
脱炭素燃料である水素等への取組を強化します。JOGMECの石油・天然ガス開発に係る技術的知見が直接活用できる化石燃料由来のみでなく、再生可能エネルギー由来の水素等の支援も推進します。さらに、資源国との関係を活用しつつ水素・アンモニアのサプライチェーン構築・市場拡大に貢献していきます。
また、CCSやカーボンリサイクルといった化石燃料の脱炭素化技術への取組を強化します。特にCCSについては、JOGMECの有する地下地上の技術的知見を最大限活用し、我が国企業がCCS適地を確保していくための資金的・技術的支援を強化します。
クレジット制度等のカーボンプライシング、それらの基盤となるCO2削減量の評価手法や認証の枠組みなど、脱炭素化を進めていくうえで不可欠となる様々な制度面での検討に積極的に関与し、カーボンニュートラル社会の基盤作りに貢献します。