二酸化炭素の貯蔵及びこれに必要な地層の探査事業は巨額の資金を要する事業です。特に探査事業は、商業的に二酸化炭素を貯蔵可能な規模の貯留層を発見できない場合、数十億円から数百億円という投下資金が全く回収できないこともあるという極めてリスクの高い事業です。この貯蔵・探査資金をすべて独力で供給することは企業にとって大きな負担となります。このためJOGMECは二酸化炭素の貯蔵・二酸化炭素の貯蔵に必要な地層の探査事業資金を出資という形で提供します。
探査事業が成功し、商業的に開発可能な貯留層の発見に成功すると開発段階になります。この段階でも巨額の資金が必要となることが見込まれますが、「発見」リスクはなくなっているためこれらの資金は金融機関からの借入でまかなわれることが見込まれます。しかし、地下の貯留層における貯留量を正確に把握することはできませんし、いわゆるカントリーリスクなどもあるため、こうした開発費の借入を容易にする目的でJOGMECが債務保証を行います。
なお、貯蔵事業のうちでも、特に多額の資金を要する大型貯蔵プラントなどの建設では、必要資金額を借入でまかなうことができず、一部は参画する企業による出資や劣後ローンの提供が求められることが見込まれます。そのような事業に対して、JOGMECが出資により資金供給をすることができます。また、二酸化炭素の貯蔵プラントや施設の購入(いわゆる資産買収)に際しても、巨額の資金が必要となる場合が見込まれ、そのような事業に対して、JOGMECが出資により支援することが可能です。
また、我が国企業による海外企業の買収や資本提携(いわゆる企業買収等)に対しても、JOGMECが出資・債務保証により支援することが可能です。
二酸化炭素の貯蔵やこれに必要な地層の探査事業を行う場合、個々の事業を実施するためのプロジェクト会社の設立が見込まれます。貯蔵・探査事業資金等はプロジェクト会社が新たに株式を発行して調達するので、JOGMECはこの新株発行の引受けという形で資金を供給します。また、資産買収等に対しても、同様に資金を供給します。
なお、JOGMECは事業が成功し、出資先に出資する本邦企業が売却を求めるときや、機構が機構の保有株式を売却することが必要であると判断するときには、国のエネルギー政策との整合性を確保しつつ、原則として株式を売却していく方針です。
JOGMECは、二酸化炭素の貯蔵事業資金や資産買収に関連する資金の借入に際して債務保証を行います。また資金調達に際して求められる完⼯保証ができます。