海底熱水鉱床は、地下深部に浸透した海水がマグマ等により熱せられ、地殻から有用元素を抽出した「熱水」が海底に噴出し、周辺の海水によって冷却される過程で、銅、鉛、亜鉛、金、銀等の各種金属が沈殿してできたものです。
一般に、海底熱水鉱床は、水深500~3,000mの中央海嶺など海底が拡大する場所(海底拡大軸)やニュージーランド~フィジー、パプアニューギニア~マリアナ~日本に至る西太平洋の島弧-海溝系に分布し、世界で約350か所程度の徴候地が見つかっています。日本周辺海域では、沖縄トラフや伊豆・小笠原海域において、海底熱水鉱床の徴候が数多く確認されています。日本周辺海域の海底熱水鉱床は、世界的にも比較的浅い水深に分布しており、開発に有利であるとされています。
我が国以外でも、ロシア、フランス、中国、韓国、インド及びドイツが国際海底機構から公海域での探査権を取得し、世界的にも権益確保の動きが活発化しています。また、韓国は、トンガやフィジーの探査鉱区を取得して、掘削調査などを行っています。さらに、民間企業のNautilus Minerals社がパプアニューギニアの領海内での開発を目指して、採鉱システムの開発を行っています。
そうした中、日本は2017年(平成29年)8月中旬から9月下旬にかけて、水深1,600mの海底で掘削・集積した海底熱水鉱床の鉱石を水中ポンプ及び揚鉱管を用いて海水とともに連続的に洋上に揚げる世界初の「採鉱・揚鉱パイロット試験」を沖縄近海で実施し成功しました。
海底熱水鉱床