我が国は海外から銅精鉱を輸入し、国内で製錬して銅地金を生産していますが、近年、銅精鉱中の有害物質であるヒ素等の不純物が増加傾向にあります。銅精鉱中に混入するヒ素等の有害な不純物は製錬の過程でスラグや煙灰等に分配され、それらは製錬所で安定的な形に固定して処理されていますが、不純物濃度の増加傾向が続けば処理費用の上昇や製錬所内外の保管場所等の問題により製錬所の競争力低下や安定的な操業に支障をきたすことが懸念されます。
そこで、銅鉱石中のヒ素等の不純物を現地の環境規則を遵守しつつ海外鉱山で分離・処分することが可能となるような鉱石処理プロセスの開発を目指します。
JOGMECは、国内の銅製錬事業者や大学等の研究機関と技術開発を行っています。具体的には、(1)銅鉱石中の不純物などの存在形態を、既存技術よりも詳細に解析を可能とする解析技術の開発、(2)鉱物の単体分離を促進するための粉砕技術とその小型試験装置の開発、(3)生体物質などを利用した新選別剤の開発や選別前処理技術の開発、(4)不純物の無害化などの技術開発を行っています。