低温焙焼等によるリサイクル製錬原料の高品質化技術の開発
銅製錬におけるリサイクル原料としては、故銅の割合が最も多いが、ついで廃電子基板類が多くなっています。本邦の銅製錬所の多くは銅精鉱の処理を前提とした操業を行っており、銅精鉱とは異なる成分を有する廃電子基板類には「製錬忌避元素」と呼ばれる元素を多く含んでいます。
製錬忌避元素としては、アルミニウムや難燃剤成分(アンチモン、臭素)、ステンレス成分(クロム、ニッケルなど)、ハンダ成分(スズ、ビスマスなど)などが挙げられます。また、可燃性樹脂やガラス繊維なども銅精鉱には含まれておらず、廃電子基板類を銅製錬原料とするためには除去することが望ましいとされています。
これらの製錬忌避元素等を、廃電子基板を低温で焙焼後に物理選別の手法により低減することで、廃電子基板を銅製錬向けに高品質化することを目指します。
技術開発は研究室レベルでの試験から開始し、事業の後半には研究室レベルで得られた結果を検証するためのスケールアップ試験を行い、プロセスの有効性を検証します。
また、製錬忌避元素低減による銅製錬操業への効果を検討するため、リサイクル原料に含まれる製錬忌避元素の銅製錬操業のうち溶錬におけるスラグへの銅ロスなどへの影響を調査し、平衡論と速度論の両面からリサイクル原料に対応した銅製錬操業の最適化も検討します。