リモートセンシングは、人工衛星や航空機等に搭載したセンサーを用いて、地表面のデータを広い範囲で迅速に取得できる手段です。リモートセンシングのセンサーには、地表面に当たった太陽光の反射スペクトルを測定する「光学センサー」や、雲や植生を透過して地表面の情報を得ることが可能な「合成開口レーダー」等があります。金属資源探査では、リモートセンシングは金属鉱床が分布する可能性がある地域を抽出するために利用されており、光学センサーは主に植生が少ない地域、合成開口レーダーは主に植生が多い地域の解析に利用されています。
JOGMECでは、資源ポテンシャルが高いもののまだ十分な探鉱が行われていない南部アフリカの資源探査を行うために、様々な衛星データ等を利用した画像解析手法の研究を行っています。南部アフリカには正マグマ性の塊状ニッケル白金族鉱床、堆積性銅鉱床、アルカリ岩に付随するレアメタル鉱床など、地表に大規模な熱水変質帯が形成されにくい探査対象が多く、従来の解析手法では限界があります。このため、本技術開発では、合成開口レーダーデータや標高データ(DEM)による地形解析、可視光~短波長赤外領域に加えて熱赤外領域のスペクトル解析、またこれらの複合利用を考慮しながら、鉱床タイプ毎の最適な解析手法の研究を実施しています。
2015年から、JOGMECでは長年蓄積してきた様々なリモートセンシグ解析技術開発を基礎としつつ、近年、新たに入手可能となった高空間分解能衛星データ等を活用した高精度・高効率なリモートセンシング解析技術の開発を開始しています。
アフリカ金属鉱床探査に関する解析技術開発における解析事例
既存地質図
光学センサーデータ解析結果
地形データ解析結果
現地写真