近年、鉱床の深部化などに伴い、鉱石中の不純物が増加したり、銅・鉛・亜鉛など有用金属を含む鉱物の分離が困難な鉱山が増加する傾向があります。この結果、今後、製錬所での受入が困難な鉱石が増え、金属生産に支障をきたす可能性があります。また、新たな資源である海底鉱物資源も陸上の鉱山とは異なる特徴を持っています。
そこで、JOGMECでは、従来の選鉱・製錬技術では処理が困難な鉱石を対象とした生産技術の研究に取組むため、平成26年度から必要な試験機器・装置を金属資源技術研究所に順次導入し、研究体制を整備してきました。
現在は、複雑硫化鉱の分離のための選鉱技術のひとつである浮選技術の開発や民間企業の開発支援のための各種選鉱試験や、鉱物単体分離解析装置(MLA: Mineral Liberation Analyzer)を始めとした各種分析装置による解析を行っています。また、企業や大学等との共同研究をより一層充実させるため、オープンラボ化を進めており、共同研究相手先の研究者らと共に課題の解決に取り組んでおります。
鉱物単体分離解析装置による解析
浮選試験の様子
固体粒子表面は水への濡れやすさ(濡れ性)が異なり、水に濡れやすい表面は親水性、水に濡れにくい表面は疎水性であると呼ばれます。この固体粒子表面の濡れ性の差を利用した選鉱方法は浮選(浮遊選鉱)と呼ばれ、現在ベースメタル(銅・鉛・亜鉛)鉱物の主な選鉱方法です。浮選では、微粉砕した鉱石を水中に懸濁し、細かな気泡を水中で発生させることで、疎水性の鉱物が気泡に付着し、浮遊した気泡とともに鉱物を回収します。浮選では、鉱物間で濡れ性の差が生じるように、捕収剤を始めとした浮選剤を用います。
粒子の浮遊イメージと捕収剤への付