JOGMECは、日本と産油国の将来にわたる人的友好・協力関係の強化および石油の大消費国としての責務たる石油の安定供給に資する石油開発関連技術の向上を目的に、各国政府機関や国営石油会社など(NOC: National Oil Company、以下「NOC等」) から石油・天然ガス開発技術者等を招聘し、産油国技術者研修等事業を実施しています。
今回のコースは、産油国技術者研修等事業と連携し、技術ソリューション事業(※1) の一環として、第3回技術ソリューション研修(Technical Solutions Training Program)として開講されました。技術ソリューション研修は、2013年度より開始した技術ソリューション事業を通じて、技術開発を推進している日本の先端技術について、その技術開発成果等を普及するのみならず、産油国等への技術移転研修を行うことを目標としています。また、そこに至るためにはNOC等との信頼関係構築と、NOC等が石油・天然ガス操業現場において直面している技術課題(二ーズ)の把握が重要であり、それらについても本研修を通じて行っています。
本コースで提唱するZero Emissionのコンセプトは、石油・天然ガス操業現場における、石油・天然ガス生産に伴う副生物/排出物(CO
2、随伴水等)を石油増産(EOR)に効率的に活かすとともに、周辺産業とも連携し廃棄物の有効利用(例えば、オイルスラッジのセメント再資源化等)により、産業全体でZero Emissionを目指すというものです。本コースでは、天然ガスからのCO
2分離/CO
2-EOR/随伴水処理/NORM管理等技術に関連して、現在技術ソリューション事業で開発中の日本先端技術についての講義・現場見学を提供し、生産効率向上と環境負荷軽減の関係性にフォーカスした講義構成としました。
技術ソリューション研修では、研修プログラムを通じて、研修生が自国での操業で直面している技術課題に対して、日本の先端技術適用を含めた解決策(ソリューション)を導き出すことをサポートする等、日本先端技術についての産油国技術者の理解を促進するとともに、日本の文化や経済・社会についても紹介し、将来にわたる日本の理解者を増やすことも目指しています。
参加研修生16名(※2) は、自国で石油・天然ガス生産現場、HSEマネジメントに関わる技術者として既に各分野の経験・知見を有しており、マネジメントクラスの技術者が多かったことから、講義中の議論が活発で有意義な研修となりました。本コースについて研修生からは、日本では様々な企業がZero Emission実現に向けて熱心な取組を行っていることに感銘を受け、産油国におけるZero Emission実現のために適用可能な日本先端技術について学ぶことができ大変有意義なコースであった、次回以降も自国より研修生を参加させたい等のコメント・評価を得ています。
なお、JOGMECは、1989年に産油国技術者研修等事業を開始してからこれまで26年間にわたり、47カ国、約3,300名に及ぶ技術者への研修を行ってきました。研修事業による産油国等の人材育成が明日の日本の資源安定供給に寄与するよう、今後も研修事業の強化・充実に努めてまいります。
※1 技術ソリューション事業とは:産油ガス国等が抱える技術課題(二ーズ)に対して、JOGMECと日本企業 が一体となって技術的解決策(ソリューション)を提案することで、日本企業のビジネス創成を支援すると ともに、産油国等の人材育成と人的ネットワークの構築を促進し、産油国等との関係強化に寄与することを目的とした事業。 本事業詳細は、JOGMEC News Vol.41 (2015年6月号)「特集 技術ソリューション事業~日本発の技術で石油開発市場を切り開く~」 をご参照下さい(
http://www.jogmec.go.jp/publish/jogmec_news_001.html)。 技術ソリューション事業は次の4つのアクションより構成されている。 (1)ニーズシーズ収集・分析、(2)技術開発、(3)技術ソリューション研修、(4)テクノフォーラム
※2 参加研修生所属組織:下記「コース概要」3)対象、参照。