第2回メタンハイドレート海洋産出試験の事前掘削作業開始について
JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:黒木啓介)は、経済産業省より受託したメタンハイドレート開発促進事業の一環として、日本メタンハイドレート調査株式会社(JMH、代表取締役社長:石井正一)をオペレータとして起用し、第2回メタンハイドレート海洋産出試験の事前掘削作業を実施します。本作業のため、本日(平成28年5月12日)、渥美半島~志摩半島沖の第二渥美海丘に向けて、地球深部探査船「ちきゅう」が清水港を出港しました。
今回の作業では、事前調査井や生産井、モニタリング井の掘削を計画しており、作業終了は本年6月中旬頃を予定しております。
第2回メタンハイドレート海洋産出試験(事前掘削作業)の概要
作業期間 |
平成28 年(2016 年)5 月12 日~6 月中旬頃(予定) |
作業地点 |
渥美半島~志摩半島沖(第二渥美海丘) |
事業主 |
経済産業省 |
関係者 |
JOGMEC(実施主体)、JMH(オペレータ) |
使用船舶(事前掘削) |
地球深部探査船「ちきゅう」 |
第2回メタンハイドレート海洋産出試験は、第1回試験で明らかになった技術的な課題の改善策を実証し、かつ、より長期のガス生産挙動を把握し、減圧法による海底面下のメタンハイドレートの生産状況や地層の変化の把握など、将来のメタンハイドレートの商業化に向けた貴重なデータを得ることを目的としており、メタンハイドレートの資源開発研究にとって、大きな前進となることが期待されます。試験の成果を活用して、将来の商業生産に向けた技術基盤の整備を進めていく予定です。
メタンハイドレート(注1)は将来の天然ガス資源として注目されており、平成13年度から平成20年度まで実施された「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」のフェーズ1では、東部南海トラフ海域(静岡県から和歌山県の沖合にかけた海域)をモデル海域として地震探査・試掘などの調査を実施し、同海域において、相当量のメタンハイドレートの賦存を確認しています(注2)。
同計画のフェーズ2(注3)では、メタンハイドレートを天然ガスとして取り出す技術の開発を目指して、平成24年~25年に第1回海洋産出試験を実施し、約6日間の期間において約12万立方メートルのガスを生産しました。
注1:メタンハイドレートとは、低温高圧の条件下でメタン分子と水分子が結合して生成する氷状の物質です。分解して発生するメタンガスを、資源として利用することが期待されています。永久凍土地域の地下や、水深500m以深の海域の海底面下に存在します。
注2:東部南海トラフにおける調査対象海域では、約40tcf(約1.1兆立方m)のメタンガスに相当するメタンハイドレートの賦存を確認しています。これは、日本の年間ガス消費量(平成23年)の約11年分に相当します。このうち、メタンハイドレート濃集帯(ある程度の規模のメタンハイドレートがまとまって濃集しており、将来の資源開発対象と期待される箇所)は全体の約6分の1の面積であり、そこに全体の半分の約20tcfのメタンガスに相当するメタンハイドレートが賦存しています。ただし、資源として利用できる量は、実際にどの程度の量が回収できるかによります。
注3:経済産業省の委託を受けたJOGMECと(国研)産業技術総合研究所によるメタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21、プロジェクトリーダー:増田昌敬東京大学教授)が実施しています。期間は平成21年度~27年度。
この記事に関するお問い合わせ先
メタンハイドレート研究開発グループ宅間・長田
電話 043-276-9536
総務部広報課乾
電話 03-6758-8106