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沖縄本島北西沖に新たな海底熱水鉱床の存在を確認

2014年12月4日

 JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:河野博文)は、沖縄海域で平成24年から継続して実施している地形調査、海底観察、サンプリング等によって、沖縄本島北西沖の伊平屋小海嶺周辺に海底熱水鉱床を発見しました。海底観察では、南北1km×東西600mの範囲(「野甫(のほ)サイト」と仮称)に、大小20個以上のマウンドと呼ばれる円錐状の高まりを確認しました。野甫サイト中央には最大規模の高さ約30m、直径約100mに及ぶマウンドがあり、銅、鉛、亜鉛、金、銀を含む海底熱水鉱床を形成しています。マウンド分布域の広がり(面積)は、伊是名海穴Hakureiサイトの海底熱水鉱床に匹敵します。今後、JOGMECは海底観察、物理探査、ボーリング調査等を行い、この鉱床の広がりや金属含有率(鉱石の品位)を把握し、資源量を評価する予定です。

位置図 「野甫(のほ)サイト」中央のマウンド
海底地形図(実線:10m間隔の等水深線)

経緯

写真 閃亜鉛鉱、黄鉄鉱、重晶石、マンガン酸化物からなる硫化鉱石
(品位分析結果は表の鉱石⑥)

 JOGMECは経済産業省の委託を受け、沖縄海域伊是名海穴でのボーリング調査を主体とする海底熱水鉱床の資源量の把握を実施すると共に、周辺海域で地形調査、海底観察、サンプリング等による広域調査を実施して、新たな海底熱水鉱床の発見に努めています。
 沖縄本島北西沖の伊平屋小海嶺周辺において、平成24年度に海洋資源調査船「白嶺」を用いた地形調査によって新たな海域で水中音響異常域※1を抽出し、更に民間船を活用し、自律型無人潜水機(AUV)による音波調査を実施して海底に複数の柱状構造物の存在を捉えました。
 平成25年度及び今年度に民間船の遠隔操作無人潜水機(ROV)を用いて実施した海底観察では、南北1km×東西600mの範囲に、大小20個以上のマウンド※2と呼ばれる円錐状の高まりを確認しました。地域中央には高さ約30m、直径約100mに及ぶ最大規模のマウンドがあり、頂上のチムニー※2やその倒壊物、裾野の沈殿物等から、亜鉛、鉛、鉄等を含む鉱石(6試料)を採取しました。
 品位(金属の含有量)分析を行ったところ、銅 0.53%、鉛 7.81%、亜鉛 12.03%、金 3.3g/t、銀 911g/tでした。これは鉱石の品位やマウンド分布域の広がり(面積)が、伊是名海穴Hakureiサイト※3に匹敵するものと期待されます。
 この海底熱水鉱床は、伊平屋小海嶺の周辺にあることから、JOGMECでは、沖縄県伊平屋島南方に位置する野甫島にちなみ、『野甫(のほ)サイト』(仮称)と呼んでいます。
表 野甫サイト最大マウンドで採取した鉱石の品位分析結果

写真1 マウンド頂上の硫化物からなるチムニー(柱状構造物)

写真2 マウンドの裾野では礫状の硫化鉱石が堆積しています。
チムニー(柱状構造物)が崩れて堆積したものと考えられます。

【用語の説明】
※1:水中音響異常域
調査船の船底にあるマルチビーム音響測探装置から海底に向けて発射された超音波の反射音データを解析処理し、海水中からの反射音のイメージを作成して解釈します。
海水中からの反射は、熱水による“ゆらぎ”などを示し、大きさや形状などから熱水活動の存在を推定します。
  • 水中音響異常のイメージ

  • 白嶺船底ドームに取り付けられたマルチ
    ビーム音響測探装置(MBES)

※2:マウンド、チムニー 海底熱水活動によって海底に生成される硫化物の柱状の構造物を「チムニー」と呼びます。熱水が海底面から噴出し、その周辺に金属成分等が沈殿することにより煙突状の構造物がつくられたものとされています。チムニーは、成長、活動停止、倒壊を繰り返すことで、周辺に礫状の鉱石塊や沈殿物を堆積させ、長年の間に硫化物からなる丘状の地形「マウンド」を形成します。

※3:伊是名海穴 沖縄本島北西約110kmに位置し、北北西-南南東方向に伸びる、長軸6km、短軸3kmの楕円形の窪地地形からなり、窪地の中にHakureiサイトとJADEサイトと呼ばれる二つの海底熱水鉱床が確認されています。JOGMECが平成24年度までにHakureiサイトで実施した資源量調査の結果、海底表層部の資源量は340万トン、全体の平均品位(金属の含有量)は、銅0.33%、鉛2.52%、亜鉛7.25%、金2.6g/t、銀216g/tであり、金の品位は、陸上の金鉱山と同等程度の値を得ています。

伊是名海穴Hakureiサイトの資源量評価につきましては、以下、ニュースリリースをご参照下さい。
「海底熱水鉱床開発計画第1期最終報告書」の取りまとめ(2013年7月5日)

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