世界初の手引書「CCSクレジットハンドブック」を公表
~CCS社会実装に向けた制度インフラ構築へ大きく貢献~
JOGMECは、CCS事業の経済性を向上させるカーボンクレジット生成の普及促進を目的に、「CCSクレジットハンドブック(Handbook for CCS Carbon Credits: Workshop report of “Global Carbon Market and CCS: Towards ASEAN Decarbonization”)」を作成し、公表しました。本ハンドブックは、2023年1月25日、26日の両日に、経済産業省及び国際排出量取引協会と共同で開催した国際ワークショップ「世界のカーボンクレジット市場とCCS-ASEANの脱炭素化に向けて―」の内容に基づき、CCSカーボンクレジットの基礎情報から最新の国際動向をまとめた世界初の文書で、CCS社会実装のための制度インフラ構築に貢献するものです。
JOGMECは、資源エネルギーの安定供給と2050年のカーボンニュートラル実現に貢献すべく、国内外でのCCS(Carbon dioxide Capture and Storage: 二酸化炭素回収・貯留)事業を支援しています。金融支援のみならず、50年以上蓄積した地下評価技術を活用し複数のプロジェクトを企業と共に進めています。他方、CCS事業推進には、経済性という大きな壁があります。この経済性の課題を解決すべく、JOGMECはカーボンクレジット市場での新たな取組みを始めました。
カーボンクレジットとはCCS事業で削減したCO2量をマネタイズする仕組みです。前述のとおり、CCS事業化のための課題の一つは経済性です。CCS事業の商業化のためには、事業者の投資判断を後押しするビジネスモデルが必要です。そのためには、カーボンプライシング制度や政府補助金に加え、収益源のオプションを増やすことが重要であり、豪州やカナダのように、CCS事業からカーボンクレジットを創出してマネタイズする仕組みが必要です。それがJOGMECの新たな試みが目指すところです。
その足掛かりとして、2023年1月に国際ワークショップ「世界のカーボンクレジット市場とCCS—ASEANの脱炭素化に向けて—」(注1)を開催したところ、世界各国から1700名の参加登録があり、大きな反響がありました。そして、同ワークショップでのクレジット領域の専門家の講演内容を主軸に、CCSに関するカーボンクレジットの動向、パリ協定6条議論等、当該分野の最先端の情報を俯瞰できるハンドブック(手引書)を今般作成しました。本ハンドブックはCCSのクレジット制度設計の土台となり、かつCCS事業者にとってはクレジットを収益源とするための情報資源となるもので、ASEANをはじめ世界各地のCCS及びカーボンクレジットの制度設計者とCCS事業者に参照・活用されることが期待されます。
なお、本取り組みは日本政府の「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)」(注2)及び「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想」(注3)の推進に貢献するものです。
JOGMECは引き続き、CCS事業の社会実装に向けた取り組みを推進し、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
この記事に関するお問い合わせ先
CCS・水素事業部 総括・国際連携課末廣
電話 043-276-9220
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