2023年11月8日
最終更新日:2024年2月29日
JOGMECは、経済産業省の委託を受けて実施した海底熱水鉱床開発に関するこれまでの取組について、2018年以来5年ぶり、2回目となる総合評価を行いました。総合評価では、資源量調査、環境影響評価、生産技術開発などの成果・課題を取りまとめ、現時点での海底熱水鉱床開発の経済性を評価しました。
JOGMECは、経済産業省の委託を受け、国で定めた「海洋基本計画」や「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」に基づき、海底熱水鉱床の開発に向けて、2008年度より、資源量調査、環境影響評価、生産技術開発、法制度のあり方の検討などの各分野で取組を実施してきました。
今回、2回目となる総合評価では、前回2018年から約5年間の取組の成果と課題を取りまとめました。主な成果として、(1)沖縄海域及び伊豆・小笠原海域にて合計5,180.5万トンの概略資源量を把握したこと、(2)環境の異なる海域で環境影響評価手法の適用性を確認したこと、(3)2017年に世界で初めて成功した採鉱・揚鉱パイロット試験の結果を踏まえて、操業安定性や環境影響を考慮した採鉱・揚鉱システムを構築したことなどが挙げられます。
各分野の成果を踏まえて、経済性の評価では、実在する2つの鉱床を対象に採鉱・揚鉱システムの運用を考慮に入れた生産計画を作成し、海底での開発に伴う環境影響を予測した上で環境調査地点を設定するなど、前回より現実的に商業化をイメージしたシナリオで検討を行いました。
今回、これらの成果と課題に今後の展望を含め、総合評価報告書にまとめました。
海底熱水鉱床開発の流れ
2023年4月に閣議決定された「第4期海洋基本計画」では、「国際情勢を睨みつつ、2020年代後半以降に民間企業が参画する商業化を目標としたプロジェクトの開始を目指し、経済安全保障の観点からも、国として必要な時に確実に開発・生産できるようにするため、資源量の把握、環境面も含めた技術の確立、体制の整備などを行う」ことが示されています。
今後、本総合評価の結果も踏まえて、経済産業省が「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」を改訂し、海底熱水鉱床の今後の取り組みに関する方向性や具体的な計画を示す予定です。JOGMECでは、引き続き海底熱水鉱床開発の実現に向けて、着実に取り組みを進めてまいります。
本件については、以下のとおり、経済産業省のホームページでも公表されています。
海洋基本法(平成19年法律第33号)に基づき策定された政府の海洋に関する施策の基本的な計画。
海洋基本計画に基づき、メタンハイドレート、海底熱水鉱床、レアアース堆積物などの開発に向けた探査・技術開発に係る道筋(ロードマップ)などを示したもの。
この記事に関するお問い合わせ先
金属海洋資源部 海洋資源技術課野尻、新川
電話 03-6758-8030
総務部 広報課柿平
電話 03-6758-8106