JOGMEC 独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構

ホーム >  ニュースリリース >  2005年度 >  JOGMECの技術を用いた石油掘削時検層装置EcoScope®の開発について∼世界初のパルス中性子発生装置により安全性が格段に向上∼

JOGMECの技術を用いた石油掘削時検層装置EcoScope®の開発について
∼世界初のパルス中性子発生装置により安全性が格段に向上∼

2005年10月5日

 シュルンベルジェ社は、10月5日に開催される日本地層評価学会(JOGMECの技術センター〔幕張〕で開催)で、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC理事長:大澤秀次郎)との共同研究の成果による新しい石油掘削時検層装置EcoScope®について発表を行う。

 EcoScope®は、油ガス田の掘削の際に、中性子等を用いて地層の特性を分析する装置。核となっている「パルス中性子発生装置」は、中性子の発生を電気的に制御する装置であり、JOGMECの技術センターとシュルンベルジェ社が共同開発したものである。これにより、従来の放射性化学物質が不要となるため、作業上の安全性が格段に向上した。シュルンベルジェ社は海外においてはEcoScope®を用いたサービスを今年2月より開始している。

 石油やガスは、地層中の微小な孔の中に存在するが、そのような油ガス田の特性を測定する作業を検層といい、なかでも中性子検層は、地層の岩石中の空間の割合や含まれる水・油・ガス等の重要な情報を得ることができる有用な手法である。しかし、これまでの装置では、放射性化学物質を使って常時中性子を発生させる必要があったために、安全性の面で課題があった。

 EcoScope®の大きな特徴は、従来の中性子検層で使用していた放射性化学物質AmBe(アメリシウム-ベリリウム)の代わりに、ON/OFFスイッチで電気的に中性子を発生させる機能を、掘削時の検層に世界で初めて導入したことにある。従来の中性子線源を用いないため、掘削作業従事者の安全の確保や、検層装置が井戸の内部から回収できなくなる事故等の際の対策の簡易化に大きく貢献するものである。

 日本の石油開発会社が今後、油ガス田を掘削する際にEcoScope®を用いることで、より安全な作業が可能となるものと期待される。
(参考)
「パルス中性子発生装置」
 パルス中性子発生装置(PNG:PulseNeutronGenerator)は電気的に中性子をパルス状に発生させる装置である。コントローラにてON/OFFの制御が可能であり、これまで常時中性子を発生させていた放射性化学物質に比べ安全性が非常に高くなった。

「EcoScope®の利点」
 EcoScope®はLWDツール(※)の一種で、ひとつの短いツールの中に様々な機能を持たせた新世代のLWDツールである。多くの地層データを掘削と同時に取得することが可能で、この機能の一つとしてパルス中性子による検層が組み込まれている。EcoScopeではこれまでの放射性化学物質を使用しないため、作業員の被爆の可能性が低くなり、放射線源の回収などの抑留・遺留対策を簡略化することが可能となる。

(※)LWDツールとは
 検層の作業は、掘削終了後、坑井から一旦掘削機などを引き上げた後に、坑井の中にワイヤーで降ろして実施することが多かった。最近はこの検層作業が掘削と同時にできるようになり、一般にはLWD(LoggingWhileDrilling)ツールと呼ばれている。傾斜井や水平井等、形状が複雑でワイヤーラインによる検層ツールの降下が不可能な場合にLWDが使われる。また掘削と同時に地層データを取得することによって、掘削流体による汚染の少ない地層の特性を知ることが可能となる。こうした背景の中で、地層のデータを取得するためにはLWDツールは必須なものとなっている。

EcoScope®(シュルンベルジェ株式会社)

この記事に関するお問い合わせ先

広報担当:総務部広報課

電話 03-6758-8106

独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構
(法人番号 4010405009573)

〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-10-1 虎ノ門ツインビルディング 16階(JOGMEC 総合受付)
電話(代表)03-6758-8000

Copyright© Japan Organization for Metals and Energy Security All Rights Reserved.