独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC理事長:河野博文)は、経済産業省より補助金の交付を受けて実施している海外ウラン探鉱支援事業※1において、新規のウラン共同探鉱をカナダのサンスカチュワン州で開始した。
調査対象地域であるボーダーブロック地域は、カナダ・サスカチュワン州サスカトゥーン市の北方約700キロに位置し、世界の4分の1のウラン生産で知られるアサバスカ堆積盆地に位置している。現在、同盆地にて実施中のウラン共同探鉱第1号案件であるバージントレンド地域※2に継ぐ2つ目の案件であり、共同探鉱の相手は、カナダの探鉱会社タイタン・ウラニウム社※3である。
1)探鉱地域
調査対象であるボーダーブロック(BorderBlock)地域は、カナダ・サスカチュワン州の北部のアサバスカ堆積盆地の西部に位置し、18の探鉱鉱区(面積約764km2)からなる。アサバスカ堆積盆地の中でも既知のウラン鉱床は東部地域に集中しており、今回の対象地域が位置する西部における既知鉱床はまだ数少なく、これからの探鉱が期待される地域である。
2)契約内容
JOGMECは4年間で合計6百万加ドルの探鉱費用を負担することにより、本プロジェクトの50%の権益を獲得できる。また、本プロジェクトの開発が決定された後、更に2年間で6百万加ドルを拠出することにより、全ての生産物の販売権を得ることができる。共同探鉱契約の締結は平成20年11月12日。
3)探鉱内容
本地域におけるウラン鉱床は、地表では鉱徴を確認できない鉱床(潜頭性鉱床)であり、最新の手法による物理探査と地質的な解析が必要になる地域である。既に、タイタン社が実施した物理探査結果から有望な兆候(コンダクター)が複数確認されていることに着目し、共同調査を開始した。今後は、これらのコンダクターを対象にボーリング調査を実施するとともに、継続して物理探査を実施し、新規のコンダクターが確認された場合、ボーリング調査を実施する。
(参考)
海外ウラン探鉱支援事業※1
海外でウラン探鉱を行う本邦法人等の探鉱におけるリスクを軽減し、海外ウラン探鉱開発を促進するための事業として平成19年度より創設され、JOGMECが経済産業省より補助金の交付を受けて実施している。本事業では、海外において外国法人と共同でウラン探鉱を行う本邦法人等に対して助成金を交付するほか、投資環境等海外のウラン探鉱に関する調査を行い、ウラン資源ポテンシャルが高いにもかかわらず、投資環境あるいは技術的な問題等から本邦法人等による資源探査活動が停滞している地域ないし鉱床において、JOGMECが外国企業等と共同でウラン探鉱を行う基礎的調査を実施する。
カナダ・バージントレンド(Virgin Trend)地域※2
アサバスカ盆地中央部に位置する探鉱鉱区44鉱区(面積約1,620km2)からなる地域。平成19年度からタイタン・ウラニウム社と開始したウランの共同探鉱案件の第1号である。平成20年度は、JOGMECの独自技術であるSQUITEM法物理探査を用い地下深部を探り、今後、冬季にボーリング調査を行う予定。
タイタン・ウラニウム社(Titan Uranium Incorporated)概要※3
カナダ・サスカチュワン州サスカトゥーン市に本拠地を置くウランの探鉱会社。アサバスカ盆地にて複数の鉱区を保有しており、先のバージントレンド地域の共同探鉱の相手方でもある。
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