2008年12月22日
1)探鉱地域
共同探鉱の対象であるマーフィー(Murphy)地域は、オーストラリア・北部準州北東部に位置する8つの鉱区(面積約8,050km2)から構成されている。北部準州では、操業中のウラン鉱山としてレンジャー(Ranger)鉱山(年間生産量約4千tU/年)が知られている。また、マーフィー地域の東方の州境付近(クィーンズランド州側)にウエストモーランド(Westmoreland)ウラン鉱床(資源量約2万tU3O8)が存在する。本地域はこのウエストモーランド・ウラン鉱床を胚胎する地質の西方延長部と推測されており、鉱床ポテンシャルが期待される地域である。
2) 契約内容
JOGMECは4年間で合計3百万豪ドルの探鉱費用を負担することにより、本プロジェクトの51%の権益を獲得できる。共同探鉱契約の締結は12月22日である。
3) 探鉱内容
本地域は新しい地層に覆われていることから、その下部の地質構造の解析を行う必要があり、技術的リスクの高いプロジェクトである。既に、共同探鉱の相手先であるボンダイ・マイニング社が空中磁気探査等の結果からボーリングを開始し、地質構造の把握に努めているところ。今後は、この作業を継続し、より深部をターゲットにしたボーリング調査により鉱徴の確認を行う予定である。
海外ウラン探鉱支援事業※1
海外でウラン探鉱を行う本邦法人等の探鉱におけるリスクを軽減し、海外ウラン探鉱開発を促進するための事業として平成19年度に創設され、JOGMECが経済産業省より補助金の交付を受けて実施している。本事業では、海外において外国法人と共同でウラン探鉱を行う本邦法人等に対して助成金を交付するほか、投資環境等海外のウラン探鉱に関する調査を行い、ウラン資源ポテンシャルが高いにもかかわらず、投資環境あるいは技術的な問題等から本邦法人等による資源探査活動が停滞している地域ないし鉱床において、JOGMECが外国企業等と共同でウラン探鉱を行う基礎的調査を実施する。なお、この基礎的調査によりプロジェクトの有望性が確認された場合、JOGMECのプロジェクトにおける権利を我が国企業に譲渡し、探鉱・開発の促進につなげる。
オーストラリア・北部準州におけるウラン鉱山開発※2
1996年に連邦政府(自由党・国民党)は「3鉱山政策」(Ranger,Nabarlek,OlympicDamの3鉱山を除く新規鉱山開発を禁止した政策)を廃止した。さらに、労働党の「新規ウラン鉱山開発禁止政策」も2007年4月に禁止から容認へと転換されており、オーストラリアでのウラン開発の許認可は州政府に委ねられている。北部準州については、ウラン鉱山の開発を支持しており、日本へも、鉱業投資促進のために州政府関係者が度々来日している。先の10月にも州政府の次官が経済産業省及びJOGMECを訪問し、ウラン探鉱開発促進に向けた積極的な姿勢が示されたところ。
ボンダイ・マイニング社(BondiMiningLtd.)概要※3
オーストラリア・クィーンズランド州ブリスベン市に本拠地を置くウランの探鉱会社。クィーンズランド州及び北部準州に複数の探鉱案件を保有しており、オーストラリア証券取引所に上場している。