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JOGMECとクウェート石油公社(KPC)が協力事業の実施に向けた覚書に署名

2010年8月16日

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC 理事長:河野 博文)は、2010 年7 月19 日付けでクウェート石油公社(Kuwait Petroleum Corporation、以下「KPC」)と、CO2EOR を中心とした先進的な石油・天然ガスの探鉱生産技術に関する協力事業に関する覚書を締結しました。署名は、同公社エル-リファイKPC 副社長とJOGMEC 鈴木理事(石油開発技術本部長)によって行われました。

 本覚書は、2008 年7 月、シェイク・ナーセル・アル・ムハンマド・アル・アハマド・アル・サバーハ クウェート首相が日本を公式訪問した際に出された共同声明で、「上流をはじめとする石油部門での技術協力を強化する」との強い希望を再確認し、「第一段階としてCO2EOR に関する共同研究プロジェクトを開始する」と決定されたことに基づき、その後KPC とJOGMEC との間で交渉が進められた結果、今回の覚書の締結に至ったものです。今後JOGMEC は、この覚書に基づき、KPC との間で、さらに具体的な事業内容に関する協議を進める予定です。

 クウェートは世界第4 位の石油埋蔵量を誇る大産油国であり、日本の原油輸入量の約8%(2008 年)は同国からの輸入(国別では第5 位)となっています。JOGMEC は、本覚書に基づく事業の実施によって、我が国のCO2EOR 技術がさらに発展するとともに、それがクウェートにおける油田開発に貢献することを通じて、クウェートにおける我が国企業の石油開発事業の展開につながることを期待しています。

以 上

(参考)

1. MOU の概要

(1)契約当事者
 JOGMEC、KPC

(2)目的
 両国政府間の共同声明を踏まえ、クウェートの油田において、既知の技術ないし新技術を適用し、技術的経済的に合理的であり、その価値を最大化させるべく、究極的な回収率を増加させることを目的とする。

(3)スコープ
 共同事業のスコープは、CO2EOR に代表される上流開発関連技術を適用するもの。
相互のトップ及び専門家の交流、共同事業機会の評価及び双方合意の分野等。

(4)実施体制
 書面による合意により、民間企業、大学、研究機関等を招聘可能。
双方は、技術協力にとどまらず、様々な協力の可能性に係る意見交換のためトップレベルの定期的会議を開催。
双方同数の代表からなるSCM(Steering Committee Meeting)を設置し、計画中ないし実行中のプロジェクトの円滑な実施のために協議する。

(5)個別契約
 本MOU に基づく個別の技術協力プロジェクト実施のため、双方は個別契約を締結。

(6)有効期間
 MOU 発効日から一年間。双方特に解除通知ない場合、自動的に一年間だけ延長。

2. クエート石油公社

 クウェート石油公社(Kuwait Petroleum Corporation:KPC)は1980 年1 月に原油の開発・生産から精製、輸送、販売の一環操業を目指して100%国営の企業として設立されました。現在本社はKuwaitCity に置かれ、同国の石油・石油化学、石油製品販売関連の以下の操業会社をすべて所有し、それらの事業活動を管理・統括しています:
  • Kuwait Oil Company (KOC) http://www.kockw.com
  • Kuwait National Petroleum Company (KNPC) http://www.knpc.com.kw
  • Petrochemical Industries Company http://www.pic.com.kw/
  • Kuwait Oil Tanker Company http://www.kotc.com.kw/
  • Kuwait Aviation Fuelling Company http://www.kafco.com.kw/
  • Kuwait Foreign Petroleum Exploration Company http://www.kufpec.com/
  • Kuwait Petroleum International http://www.q8.com/
  • Kuwait Gulf Oil Company http://www.kgoc.com/
  • Oil Services Company http://www.ossc.com.kw/
  • Oil Development Company http://www.kuwaitproject.com/

3. CO2EOR について

 油田の石油は、鍾乳洞の地下水のように溜まっているのではなく、岩石の中のミクロン単位のごく小さな孔に溜まっています。油層が持つ自然のエネルギーを利用して、石油を回収する一次回収では、5~25%程度しか回収されません。
 現在、世界中で大規模な油田の発見が困難になり、また探鉱・開発コストも上昇している中、既存の油田の油層内に炭酸ガス(CO2)などを注入することで地下の石油の性状を変化させて回収率を高める「原油増進回収技術(EOR:Enhanced Oil Recovery)」が世界的に期待を集めています。
 中でも「CO2EOR(炭酸ガス攻法)」は、CO2 が原油と高い親和性を持つことから、他のEOR に比べても高い回収率が期待されます。一方、CO2EOR では大量のCO2 を油層内に圧入することから、従来は地下の地層に純度の高い天然のCO2 が存在する北米など世界のごく一部でしか実施されてきませんでした。近年産業排ガスなどからのCO2 キャプチャー技術の開発により、CO2 が従来より低いコストで大量に確保できるようになってきたことから、適用可能な地域が世界に広がる可能性が期待されます。さらに、CO2EOR は実用的なCO2 の地中隔離(CCS)でもあることから、地球温暖化防止にも寄与する技術として注目されています。
 JOGMEC では1970 年代から、このEOR 技術の研究開発に取り組んでおり、現在、アラブ首長国連邦(アブダビ)、ベトナムなどの国営石油会社とCO2EOR に関わる共同スタディを進めています。

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