石油や天然ガスに付随して生産される随伴水は年々増加の傾向にあり、その適切な処理と貴重な水資源としての再利用が重要な課題となっています。JOGMECでは2015年度から2017年度にかけて、株式会社INPEX(以後、「INPEX」)、千代田化工建株式会社およびメタウォーター株式会社(以後、「メタウォーター」)と共同で、セラミック膜を使用して随伴水に含まれる油分および浮遊物質を除去する技術(CMPWT:Ceramic Membrane-based Produced Water Treatment)を開発しました。秋田県の国内油田に大型商業セラミック膜を搭載した実証プラントを建設し、2017年度に約7か月の実証試験を行い、これまで複数の技術により段階的に行ってきた油分と浮遊物質の高度除去を、この技術一段で同時処理できることを実証しました。実証試験に引き続き、2018年度から2022年度までは、INPEXと共同で事後調査研究を実施し、実証プラントを用いた運転データの収集と運転の最適化を行った結果、2022年度末迄の累計運転時間は23,123時間となりました。この期間、セラミック膜に劣化等の兆候が見られないことを確認しています。
また、本技術の事業化の一環として、秋田大学とUAE大学のご協力により、2019年度より携帯型試験機をUAEアルアイン市にある両大学の共同実験室に設置させていただき、多様な水サンプルの試験を実施しております。その1つとして、2020年度からは新たな用途として、石油等の長距離パイプラインのピギング排水処理への適用を検討しており、サンプル試験での良好な結果に基づき、フィールド試験の早期実施に向けた準備を行っています。ピギング排水を洋上で処理を行うことでコストの削減並びに原油生産停止期間の短縮が可能となり、環境負荷低減及びアセット価値向上に貢献できる技術として期待されています。