メタンハイドレートは、資源に乏しい日本にとって国産エネルギーとなることが期待されており、我が国の周辺海域にも、広く存在すると推定されています。
このメタンハイドレートを資源として開発するため、2001年7月に経済産業省によって「我が国におけるメタンハイドレート開発計画」が策定され、フェーズ1からフェーズ3の18年間、メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21)の一員として研究開発を実施しました。2018年度までの研究では、東部南海トラフにおいて、高い飽和率でメタンハイドレートが集積した砂層の広がりである「メタンハイドレート濃集帯」の発見、室内実験、数値シミュレーション、カナダでの陸上産出試験や、世界初となる海洋産出試験により人工的な熱の投入なしでメタンハイドレートを水とガスに分解させる「減圧法」が有効な手法であることの実証といった成果をあげ、MH21の活動は2019年3月に終結しました。
これらの成果の一方で、海洋で長期・安定的にガスを生産するためにはまだ多くの技術課題が残されていることがわかり、2019年2月に改定された「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」において、2027年度頃までに海洋産出試験等を実施することを目指してフェーズ4(2019-2022年度(注1))が策定され、生産技術の開発と、有望濃集帯の抽出に向けた海洋調査の実施、また環境影響評価や日本周辺海域の資源量評価等の長期的な取り組みを継続することが定められました。
フェーズ4では、新たに組織されたMH21-S研究開発コンソーシアム(MH21-S(注2))の一員として、日本近海での海洋調査による有望濃集帯の抽出と、アラスカでの長期産出試験による長期生産技術の実証、環境影響評価などを通じて、将来の日本近海での長期海洋産出試験を見据えた研究開発を継続しています。
(注1)第38回メタンハイドレート開発実施検討会(2021(令和3)年11月17日開催)にて、フェーズ4を1年間延長し、2023年度末までとする見直しが提示
(注2)MH21-SはJOGMEC、(国研)産業技術総合研究所、日本メタンハイドレート調査(株)の3法人が組織するコンソーシアム。