JOGMECが管理・運用する海洋資源調査船「白嶺」。
これまでさまざまな海洋鉱物資源を調査し、大きな成長をあげてきた。
まずは白嶺が誇る調査能力を紹介しよう。
鉱物資源の安定供給を目指し日本周辺の海底に眠る鉱物資源の調査・開発を推進
世界第6 位の広さの排他的経済水域を持つ日本。その海域内には、海底熱水鉱床やコバルトリッチクラストなど、多くの鉱物資源が眠っている。JOGMECでは、これら海洋鉱物資源の調査を目的に、2012年に海洋資源調査船「白嶺」が就航し、調査を実施。陸上よりはるかに難度が高い海洋で鉱物資源の調査をするため、白嶺は多くの最先端機器を搭載している。
まず、調査の初期段階では、音波探査機器やファインダー付深海カメラ、有索式無人潜水機(ROV)を用いることで、海底の地形や表層の鉱物資源の分布などを把握できる。ROVは、搭載されたカメラで海底面の様子を見ながら採取する鉱石を決めたり、装着されたマニュピレーターを利用して直接採取することも可能だ。大きな塊状試料などを採取したい場合には、ファインダー付パワーグラブを使用する。表層の鉱物資源の分布状況の把握に引き続き、鉱体の厚さを確認するための調査が掘削調査だ。白嶺では、海底鉱物資源の種類などに応じて2種類の掘削装置を使い分けている。1つ目は、船から海底までパイプをつなげて、海底の掘削を行う船上設置型掘削装置。2つ目は、船とケーブルでつないだ掘削機器を海底面まで下ろし、着底した場所を掘削する海底着座型掘削装置だ。船内には6つの研究室があり、採取した試料をその場で分析することもできる。
船上設置型掘削装置
大きなやぐらのような船上設置型掘削装置。約10メートルのパイプを数百本つなげることで、最大水深2,000メートルの海底から海底下400メートル掘削することができる。白嶺のシンボルとも言える装置で、現在の掘削調査のメインプレーヤー
ムーンプール
船体の揺れが最も小さい中央部に、甲板から船底まで開けてある開口部(ムーンプール)から機器を海中に降ろすことができる
有索式無人潜水機(ROV)
高性能カメラを使った海底観察やロボットアームによる試料採取のための装置。
船上で海底の様子をリアルタイムに確認できるため、海底の状況に応じて遠隔操作できる
海底着座型掘削装置
ケーブルを通じて掘削装置を海底に沈め、着底した場所を掘削する海底着座型掘削装置。海底熱水鉱床は、最大水深3,000メートルで海底下50メートル掘削できる掘削装置を、コバルトリッチクラストは、最大水深3,000メートルで海底下50センチメートルを掘削できる掘削装置を用いる。なお、最大水深6,000メートルで海底下20メートル掘削可能な掘削装置も有しており、計3台を運用することが可能
ファインダー付パワーグラブ
6本の大きな鉄の爪(左)と大きなシェル型のバケット(右)を装備した、海底の試料を採取する装置。
コバルトリッチクラストなど海底に堆積する試料を直接採取できる