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メタンハイドレート研究開発最前線(3)

【Method】メタンハイドレートを分解してガスを取り出す 減圧法の仕組みとは?

メタンハイドレートの商業生産に向け、有効な手法として期待される「減圧法」。
その仕組みを解説するとともに、技術確立に向けた取り組みを紹介します。
 これまでの調査で一定の厚さと広がりをもったメタンハイドレートが日本近海の海底面下に存在することを確認しているものの、それらをすぐに回収できるという訳ではありません。液体や気体の石油、天然ガスは井戸を掘れば自ら噴出しますが、メタンハイドレートは地下に固体として存在するため、単に井戸を掘っただけでは回収できないのです。そのためMH21-Sでは、「減圧法」を主体とした生産方法の確立を目指しています。

 減圧法はメタンハイドレート層に井戸を掘り、水を汲み上げることで圧力を下げ、メタンハイドレートを水とガスに分解して回収する手法です。メタンハイドレートの商業生産に向けた有望技術ですが、水とガスの分離、回収に伴う出砂への対策や生産挙動の安定性など、まだ課題が残るのが現状です。

 MH21-Sではフェーズ4の活動の一つとして、2023年6月より約2カ月間にわたり、メタンハイドレート濃集帯の存在が確認されている志摩半島沖において、地球深部探査船「ちきゅう」を用いて減圧法を利用した試掘・簡易生産実験を実施しました。
減圧法イメージ図

【Column】さまざまな形態で存在する海底のメタンハイドレート

 「燃える氷」とも呼ばれることから、白い固形物をイメージされるかもしれませんが、海底にはさまざまな形態のメタンハイドレートが存在します。その中の一つが、堆積した砂の粒の間にごま塩のようにメタンハイドレートが入り込む「砂質層孔隙充填型メタンハイドレート」と呼ばれるタイプです。MH21-Sでは、このタイプのメタンハイドレートから、減圧法によるメタンガス生産を研究開発しています。

左:MH21-Sがターゲットとする「砂質層孔隙充填型メタンハイドレート」、中央:海底面近傍に存在する「表層型メタンハイドレート」、右:海底の泥の中に塊で存在する「泥層内メタンハイドレート」

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