【Crew Member】JOGMEC職員が振り返る 試掘・簡易生産実験 船上業務
メタンハイドレート試掘・簡易生産実験において、JOGMECはMH21-Sの一員として、
日本メタンハイドレート調査株式会社の船上業務をサポートする役割を担いました。
地球深部探査船「ちきゅう」に乗船し、本実験に携わったJOGMEC職員が、船上での担当業務を紹介します。
新しい坑井を掘削するたびに新たな発見がありました
本実験では、試掘データの即時解析などを担当しました。メタンハイドレート開発には、石油・天然ガスの地質や物理探査の知識のみならず、メタンハイドレート特有の知見を蓄積することも重要です。これまで石油開発業界で16年以上の経験を積んできましたが、本プロジェクトで新しい坑井を掘削するたびに新たな発見がありました。地球深部探査船「ちきゅう」への乗船は5度目となりますが、使用する機材の進化も実感しました。今では地下の地層そのものを見ているかのような高品質な画像データも収集可能です。メタンハイドレートの商業化に向け、これまでの掘削作業で得られたデータの解析を進めていきたいと思います。
メタンハイドレート研究開発グループ 資源探査チーム 担当調査役
タン ティン アオン
安全・効率的に作業が進むよう知識・経験をもとにサポートしました
生産システム関連機器の設計や作業計画立案などのサポート業務を担当しました。現場作業を安全・効率的に進められるよう、これまで培ってきた知識・経験をもとに準備段階からできる限り細やかに助言・進言することを心がけました。取り扱いが難しい作業や手順をいかにシンプルなものに改善できるか? それを突き詰める作業は非常に取り組みがいがあり、新しいアイデアがひらめいた時や設計通りに作業が進んだ時は達成感と安堵感を感じました。以前一緒に仕事していた方々と船上で再会するという巡り合わせもあり、個人的にも印象に残る船上業務となりました。
メタンハイドレート研究開発グループ 開発生産チーム 担当調査役
永岡 卓也
実際の地層を相手に生産実験をする難しさを改めて感じました
生産実験の減圧基本方針の提案や、取得した生産データを解析しながら想定される地下の状況に応じて方針を見直し、陸上との間の意思決定会議に諮る業務などを担当しました。メタンハイドレートの生産実験に立ち会うのは今回が3度目でしたが、実際の地層を相手にガス生産のオペレーションをする難しさを改めて感じました。今回は限られた時間の中での生産実験でしたが、一緒に乗船した皆さん、陸上の関係者と協力しながら、次に繋がる価値あるデータの取得に努めました。また、初めて乗船する若手のJOGMEC職員も多くいましたが、それぞれの視点で取得したデータを解釈し、サポートしてもらったことに感謝するとともに頼もしさを感じました。
メタンハイドレート研究開発グループ 開発生産チーム サブリーダー
大槻 敏
現場でしか分からないことが多々あることを再認識しました
今後の環境影響の検討のため、ガスとともに生産される「生産水」の採水と成分分析の状況確認に従事しました。生産水を海域に排出する場合には関連法規制に準拠することになりますが、事前に生産水中の成分を把握しておくことは非常に重要となります。今回の実験では、船上での簡易計測の結果、当初想定していた成分組成とは異なる可能性があることが判明し、驚きとともに現場でしか分からないことが多々あることを再認識しました。今後も、新たに発見した知見を取り入れながら、合理的な環境影響の評価に向け、着実に検討を進めていきたいと思います。
メタンハイドレート研究開発グループ 環境影響評価チーム チームリーダー
荒田 直
地層評価には放射線検層データも欠かせません
放射線は地下評価のために不可欠である一方、その利用のためには原子力規制委員会への事前の届出や、現場での厳格な管理体制が求められます。私は物理探査技術者ですが放射線利用に関する資格を有しているため、放射線検層に関する安全管理を担当するため乗船しました。収録された放射線検層データは地下のメタンハイドレート層の有無の判断にリアルタイムで利用されました。船上での掘削前の不安・緊張感と、掘削中に狙い通りメタンハイドレート層を掘り当てたときの喜び・安堵感は忘れられません。本実験は次期海洋産出試験に向けた地下情報収集の貴重な機会であり、そのような重要な業務に微力ながら携われたことを嬉しく思います。
技術部 探査技術課 課長代理
藤本 暁