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石油の増産・減産で何が起こる? ガソリン価格への影響も解説!

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 原油価格に関連するニュースによく登場する「増産」「減産」というワード。石油の生産量の増減を意味していますが、その目的や背景を知ることで、原油価格の動向や世界情勢を把握することに役立ちます。

 本記事では、増産・減産の言葉の意味や、増産・減産による私たちの生活の影響などを、わかりやすく解説します。

石油の「増産」「減産」とは

 「石油の増産」とは石油の生産量を増やすこと、「石油の減産」とは石油の生産量を減らすことです。そもそも「増産・減産」は、「生産量を増やす・減らす」ことを意味する言葉で、農作物や工業製品など生産に関わるものに対して幅広く使われます。

増産・減産による影響

 石油は、世界中の産油国が毎日どのくらいの量を生産するかによって、世界全体の供給量が決まります。つまり、「増産する=供給が増える」「減産する=供給が減る」ということになります。

 原油価格は、世界の「需要と供給」のバランスによって変動します。例えば、増産が行われると供給量は増えますが、買い手の数(=需要)が変わらなければ、売り手は自分の原油を買ってもらうために価格を下げざるを得ません。「余った分は売れるまで置いておけばいい」と思うかもしれませんが、石油は現物の商品であるため単に保有しておくだけでもコストがかかります。貯蔵施設には限りがあるため、置き場所が足りなくなることもあります。

 反対に、減産が行われると供給量が減るため、需要が変わらなければ、買い手の数に対して石油の量が不足します。すると、売り手はより高い価格で販売しようとするため、原油価格は上昇します。

増産・減産と原油価格の関係性

増産すると価格は下がり、減産すると価格は上がる

原油価格が変動するとどうなる?

 石油は、自動車用のガソリンをはじめ、飛行機のジェット燃料、バス・トラックなどの軽油、船舶の重油として欠かせません。さらに、火力発電や暖房(灯油)、プラスチック、化学繊維といった日用品の原料にも使われています。そのため、原油価格の変動は輸送費や製造コストに影響し、結果的に物価や私たちの生活にも波及することがあります。

石油が使われているものの例

石油が使われているものの例

石油の増産・減産が行われる理由

増産・減産が行われる理由は、主に以下の2つが挙げられます。

操業上の都合

 石油の増産・減産が行われる理由の一つは、操業上の都合です。例えば、新たな油田での生産が開始されれば、増産となります。一方、油田やパイプライン、港湾など石油のサプライチェーン上で事故などが起きて生産や輸送がストップした場合、減産せざるを得なくなります。

原油価格を安定させるため

 「原油価格を安定させるため」という理由も挙げられます。原油の価格が上がりすぎると、物価高などを通じて世界経済や消費国に負担がかかります。結果的に原油の需要が落ち込み、産油国の経済に悪影響を及ぼす可能性があります。

 一方、価格が下がりすぎると、産油国の収益が減少します。石油の開発や生産には多くの時間と資金が必要であるため、新しい油田の開発や既存の設備の維持への投資が滞ると、中長期的には供給が不足し、価格が高騰する恐れもあります。

 そのため、需要が減る局面では「減産」で価格の下落を抑え、需要が伸びる局面では「増産」で上昇を抑えるなど、状況に応じた調整をするというのが基本的な原理です。

世界の供給量のコントロールを目指すOPECプラス

 世界の石油価格を安定させるため、主要産油国は「OPECプラス」という枠組みを設け、協力して生産量を調整しています。

 OPECプラスは世界の状況を見ながら増産・減産を決定し、各加盟国の目標生産量を定めて供給をコントロールすることを目指しています。昨今の石油の増産・減産に関するニュースの多くは、OPECプラスの政策に基づくものです。

OPECプラスの加盟状況

加盟状況 国名
加盟国 イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ、リビア、アルジェリア、ナイジェリア、アラブ首長国連邦、ガボン、赤道ギニア、コンゴ
非加盟国 アゼルバイジャン、バーレーン、ブルネイ、カザフスタン、マレーシア、メキシコ、オマーン、ロシア、スーダン、南スーダン

OPECプラスの方針と市場価格の関係性

 OPECプラスが生産量の方針を示しても、各国の事情や利害の違いから、実際には計画通りに進まないことも少なくありません。例えば、増産を決めても設備投資や資金不足で目標の生産量に到達できない国があったり、減産を求められても国内経済への影響を避けるために生産を減らさない国が出てくることもあります。

 こうした事情から、OPECプラスの方針が必ずしもそのまま市場価格へ反映されるわけではないため、市場価格の変動を予想することも難しいのです。

OPECプラスの生産目標と実際の生産量

(注)OPECプラス加盟国のうち、現在生産調整をしている19ヶ国の生産量
出所:OPEC、IEAのデータを基にJOGMEC作成

OPECプラス以外の産油国の影響

 原油を生産しているのは、OPECプラスだけではありません。世界有数の産油国であるアメリカやカナダ、ノルウェーなどの非加盟国も、世界全体の供給量に大きく影響しています。さらに、新たな油田の開発が進む地域もあります。近年では、南米のガイアナが大規模な海底油田の発見をきっかけに急速に産油国として台頭し、生産量を伸ばしています。

 OPECプラスが足並みを揃えて増産・減産を行ったとしても、こうした国々の動向次第では、その効果が相殺されることもあります。

価格の変動ではなく、増産・減産が行われる背景に注目しよう

 石油の増産・減産に関するニュースを目にすると、ついガソリン価格や日常の物価に結びつけて考えてしまいがちです。しかし、増産や減産は単なる値上げ・値下げの手段ではなく、世界全体の需給バランスを整え、将来の安定供給を確保するための調整でもあります。

 さらに、増産・減産の方針が決められても、その計画通りに市場が動くとは限りません。そのため、ニュースで増産・減産の言葉を聞いても、過剰に心配する必要はありません。むしろ、その背景にある国際的な状況や各国の動向にも目を向けることが、石油市場を正しく理解するうえでは重要です。

記事掲載日:2025年12月19日
 

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