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資源エネルギー業界が主導するカーボンニュートラル社会(2)

資源エネルギー業界が主導するカーボンニュートラル社会(2)

カーボンニュートラル社会の実現に向けたJOGMEC の取り組み

長年、資源エネルギーの安定供給に取り組んできたJOGMEC。
これまで培ってきた技術や知見を活かして進める、
カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みを紹介しよう。

資源エネルギーの安定供給を通じカーボンニュートラル社会を実現

 2050年カーボンニュートラル社会実現に対し、JOGMECは資源エネルギーの安定供給の立場から挑戦している。2021年4月1日には組織全体で取り組みを強力に推進するため「カーボンニュートラル推進本部」を創設。4月20日には、3つの基本方針と具体的行動計画(アクションプラン)を掲げた「JOGMECカーボンニュートラル・イニシアティブ」を策定した。

●クリーンな資源エネルギーへの取り組み強化
 引き続き重要な役割を果たす化石燃料について、資源開発時のCO2排出削減を支援しながら、その安定供給を確保していく。またカーボンニュートラル社会への着実なエネルギー移行を促進すべく、資金的・技術的支援や情報提供等を通じ、CO2排出量の比較的少ないLNGや発電時のCO2排出量がほぼゼロの地熱資源開発を推進。さらに、再エネや将来の電化を支える金属資源の安定供給に向けた取り組みを強化し、鉱山や製錬所のCO2排出削減も支援することで、クリーンな金属資源の供給に貢献する。
 

低炭素エネルギーである天然ガスを安定供給

 燃焼時のCO2 排出量が化石燃料の中で最も少ない天然ガス。他の化石燃料からの転換や再生可能エネルギーの調整電源として引き続き重要なエネルギー資源であり、また水素・アンモニアの安価で安定した供給源としても期待されている。そこでJOGMECは、LNGの上流リスクマネー供給に加え、中下流事業への支援や情報提供の機能強化を通じて、市場拡大の促進などLNGの安定確保に努めている。
  • 石炭や石油に比べてCO2 の排出量が少ない天然ガス。世界的には今後、需要拡大が予想される

  • JOGMECが支援した豪州のイクシスプロジェクト。年間890万トンの天然ガスを生産するなど、資源の安定供給の要だ

再エネ・省エネに不可欠な金属を確保

 カーボンニュートラル社会では、再エネ・省エネ機器の普及や電気自動車をはじめとする世界的な電化の拡大に伴い、それらに不可欠な金属資源の安定供給の重要性も高まる。特に需要拡大が見込まれるのが、モーターや蓄電池に用いられるレアアースやコバルト、ニッケル、リチウムなどのレアメタル。JOGMECでは、これら金属資源の安定供給に向け、探鉱開発を行う日本企業への各種支援を強化。レアメタル生産技術への支援や備蓄なども進め、安定供給に向けた取り組みを全方位的に推し進めている。

電気自動車には、特定の国や地域への遍在性から供給不安や価格変動リスクを抱える金属が使われており、安定供給の確保が課題だ

安定した再生可能エネルギーをもっと広める

 CO2 排出量がほぼゼロのクリーンなエネルギーであり、天候等の自然条件に左右されず安定した発電が可能な地熱エネルギー。この再生可能エネルギーの「優等生」的な存在である地熱発電の加速度的な開発促進は、エネルギーの安定供給とカーボンニュートラルを同時に実現する。そこでJOGMECでは、全国の地熱資源ポテンシャルに関する基礎データの取得・公開や、民間企業の資金的リスク低減に向けた助成金、出資、債務保証等の支援を展開している。さらに、地下の水の存在が確認できなかった地域においても地熱発電を可能とするため、CO2を媒体とした発電が可能な新たな技術の開発にも着手。さらなる地熱開発の拡大を目指す。

秋田県湯沢市にある山葵沢地熱発電所。一般家庭約9万世帯分の電気使用量に相当する約4万6,000キロワットの設備容量を誇る

●脱炭素燃料・技術への取り組み強化
 水素やアンモニアなど、燃焼時にCO2を排出しないゼロエミッション燃料の供給体制を構築するため、経済性や安定供給の観点から当面利用の拡大が考えられる化石燃料由来の水素・アンモニア製造に対する支援を行う。具体的には、CCSを通じたカーボンフリー化や、バリューチェーン調査を通じた事業性評価への支援を進める。CCSについては、CO2EORの知見を活かし、技術的知見や審査能力の蓄積・強化を図り、研究開発や資源開発と一体になったCCS事業の事業性評価や共同研究、適地調査支援など、包括的な支援を行う。

回収したCO2を地中に貯留するCCS

 CCS(注1)とは、天然ガス処理プラントや火力発電所等から排出されるCO2を分離回収し、地下深く長期に安定的に貯留することで、CO2の大気中への排出を抑制する技術。このCCS技術により、水素・アンモニア製造時のCO2 排出量を削減することで、クリーンな水素・アンモニアの供給が可能となる。JOGMECはこれまで、地下の油層にCO2を圧入し、石油の増進回収を行う「CO2EOR(注2)」の技術支援を進めてきた。CO2EORの研究で培った、地下の構造評価、流体の動きに関するシミュレーション技術等をCCSにも応用し、資源開発に伴うCCSのCO2長期貯留安定評価などを進めている。

(注1) Carbon dioxide Capture and Storage
(注2) Enhanced Oil Recovery

CCS のイメージ図。地上で排出されたCO2を回収し、地下に圧入して固定する。 地下の流体の動きや構造評価には、CO2EOR 技術が応用できる

●脱炭素化に必要な制度整備への貢献
 クレジット制度などのカーボンプライシング、CO2削減量の評価手法や認証枠組みの構築等、さまざまな制度設計に積極的に関与。資源エネルギーに関するあらゆる知見や技術を総合的に有するJOGMEC最大の特徴を発揮し、日本企業の資源エネルギー開発と脱炭素化を技術と資金の両面から支援し、経済と環境の好循環を目指す。
 

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