資源エネルギー業界が主導するカーボンニュートラル社会(5)
「日経SDGsFESTIVAL」に参加 カーボンニュートラルに向けたJOGMEC の取り組みを発信
「JOGMEC の水素・アンモニアへの取り組み―炭化水素から新たな資源の創出へ―」と題した講演を行った細野 哲弘 理事長
2021年5月10日~14日、SDGsに関する取り組みが紹介される日経SDGsFESTIVALが開催された。
そのうち5月11日に行われた水素シンポジウムにJOGMEC 理事長 細野 哲弘が登壇し、「JOGMEC の水素・アンモニアへの取り組み―炭化水素から新たな資源の創出へ―」と題し講演を行った。
「日経SDGsFESTIVAL」の2日目に開催された水素シンポジウムは、経済産業省資源エネルギー庁の茂木正氏の来賓挨拶で幕を開けた。次いで、企業や地方自治体が、現在取り組んでいる水素エネルギー関連事業を紹介したのち、細野が登壇した。細野は冒頭で、「JOGMECは石油・天然ガス・石炭などのエネルギー資源、金属資源の安定供給に向け、これを担う企業の支援に取り組んできた、いわば“ 地下資源のエキスパート” です。そんなJOGMECがなぜ、水素シンポジウムに登壇しているのか、不思議に思う方も多いかもしれません。しかし、実は地下資源と水素との間には深い関係があるのです」と述べ、JOGMECの水素・アンモニアへの取り組みと今後の展望を紹介した。
細野は、「よく『脱炭素』と言われますが、炭素自体は非常に重要な物質です。問題は、燃焼して酸素と結びつき、温室効果ガスであるCO2になることです。したがって、本来は、『脱CO2』が正しい呼び名だと思っています」と述べたうえで、燃焼してもCO2を排出しない水素・アンモニアに注目が集まっている理由を説明した。一方で、製造時にCO2を排出しない水素の製造方法としては、現在のところ、再生可能エネルギーを使った電気分解や製品の製造工程での副生が有力だが、コストや供給量の面から容易ではない。それに対し細野は、決して短くはない当面の間は、化石燃料を原料に水素・アンモニアを製造し、その際発生するCO2をCCSにより地下に貯留し大気中へのCO2 排出量をゼロにすることが、現時点における現実的かつ賢明な解決策であると強調した。最後に、「今後カーボンニュートラルの実現に向けエネルギー資源を取り巻く環境も徐々に変化していくでしょう。今後も時代のニーズに柔軟に対応しながら、組織を挙げてエネルギー資源の安定供給に取り組んでまいります」と述べ、講演を終えた。
日本経済新聞社、日経BP主催の「日経SDGsFESTIVAL」が2021年5月10日~14日の5日間にわたり開催され、連日SDGsに向けた取り組みが議論された
TOPICS1 気候変動等に対応した技術開発事業を発信するウェブサイト『資源ミライ開発』を公開
JOGMECは2020年7月、資源を取り巻く環境の変化に対応するため、「低炭素社会に向けた技術事業戦略」を策定。技術開発の新たな取り組みとして、現在、「CCS 推進事業」「クリーン水素・アンモニア推進事業」「デジタル推進事業」を推進している。そこで2021年4月、それらの事業内容を紹介する専用ウェブサイト『資源ミライ開発』をオープンし、各種取り組みを紹介している。
専用ウェブサイト『資源ミライ開発』では、各事業の技術的な内容を理解しやすいイラストとともに深掘りして紹介している。今後もタイムリーな情報発信と情報の充実を図っていく
TOPICS2 カーボンニュートラルの実現に向けた基本方針『JOGMECカーボンニュートラル・イニシアティブ』を策定
JOGMECは資源エネルギーの安定かつ廉価な供給を最優先としながら、資源開発に伴う環境問題へも積極的に取り組んでいる。2021年4月にはカーボンニュートラル社会の実現に向け組織全体に横串を通して推進するため、「カーボンニュートラル推進本部」を新設。さらに、推進すべき取り組みをまとめた『JOGMECカーボンニュートラル・イニシアティブ』を策定した。