既存LPG低温タンクのアンモニア転用に関する技術的な手引き
カーボンニュートラル社会の実現に向けて脱炭素燃料の必要性が高まる中、JOGMECは将来的に脱炭素燃料の貯蔵設備の確保が重要な課題であるとの認識の下、石炭火力発電所での混焼利用などでの期待が高まっているアンモニアについて、その性状がLPGに似ていることに着目し、アンモニアの貯蔵についてはLPG低温タンクの転用が重要な選択肢の一つになると考えました。そこで、これまで蓄積してきた貯蔵に関する知見を活用してLPG低温タンクのアンモニア転用に係る検討を行い、日本へのアンモニア・バリューチェーン構築を目指す事業者様や研究機関様等において技術的検討、さらには経済合理性評価等を実施される場合の一助とすべく、既存LPG低温タンクのアンモニア転用に関する技術的な手引き(以下、「手引き」)を策定しました。
手引きでは、稼働中のLPG低温タンクのアンモニア貯蔵への転用に関する許認可申請等の手続きフロー、転用に向けての設計における応力腐食割れ防止等の技術的な留意事項、さらには転用を行う場合の耐震性確保のための液位について検討した事例などを紹介しています。
なお、LPG及びアンモニアはいずれも高圧ガス保安法の適用を受けるため、実際に既存LPG低温タンクを転用するにあたっては、監督官庁である都道府県等自治体、並びに高圧ガス保安協会との協議に従って実施することになりますので、その点はご留意をいただく必要がございます。
また、表1-1のとおりLPGとアンモニアは、その密度、液温度などの物性データに大きな違いがないため転用可能であると考えられますが、アンモニアはLPGとは異なり毒性ガスであることと腐食性を有することについてご注意をいただく必要がございます。
表1-1 LPGとアンモニアの比較表
|
LPG(プロパン、ブタン) |
アンモニア |
密度(設計例) |
0.594、0.613 |
0.683 |
液温度(設計例) |
-45度、-10度 |
-34度 |
腐食性 |
無し |
炭素鋼に対しSCC、銅に対し腐食性、など |
可燃性ガス |
該当 |
該当 |
毒性ガス |
非該当 |
該当 |
手引きの交付をご希望の場合は、下記の交付申請書にご記入の上、申請者の身分を証明する資料(社員証、学生証、名刺等の写しなど)を添えて、下記「お申し込み先」までメールにてご送付下さい。
なお、手引きのご利用目的について、以下の2つの項目を共に満たしていただく必要がございますので、予めご了承下さい。
- 本邦へのアンモニアのバリューチェーン構築に資すると認められること
- JOGMECカーボンニュートラル・イニシアティブ(注)に適合すると認められること
(注)
詳細は下記「個人情報保護方針」をご参照ください。
なお、本手引きは、JOGMECが国から受託した「令和4年度国家備蓄石油管理等事業」において策定した委託成果物であることから、交付申請をいただいた内容につきましては、資源エネルギー庁に報告をさせていただきますこと、あらかじめご了承下さい。
〒105-0001 東京都港区虎ノ門2丁目10番1号 虎ノ門ツインビルディング
担当:JOGMEC 備蓄企画部 塩見、加藤
電話:03-6758-8033
E-mail:cn-tebiki@jogmec.go.jp